東京農工大学大学院 農学研究院の安達俊輔教授、同大学院工学研究院の山中晃徳教授らの研究チームは、米国ハワイ州カウアイ島の農家と協力してコシヒカリとひとめぼれの陸稲栽培(水を張らない畑状態での栽培)に成功した。ハワイでの稲作復活を目指してハワイ大学マノア校College of Tropical Agriculture and Human Resilienceと共同で実施したもので、ハワイ大学マノア校で開かれた試食会は好評を得た。
ハワイ州はかつて、日系移民の手で広く稲作が行われ、一時米本土に送り出すほどの産地だった。しかし、カリフォルニア州などで大規模の稲作が進んだこともあり、今では商業稲作は行われていない。
またハワイ州は食料自給率が低く、米本土などからの輸送に頼る部分が大きい。しかし、太平洋上に浮かぶ島だけに、自然災害などで輸送が絶たれるリスクを抱えている。そこで東京農工大学が中心となり、ハワイにおける稲作復活プロジェクトが始動した。
研究グループが2025年3月からカウアイ島の地元農家圃場と東京農工大学フィールドサイエンスセンター・フィールドミュージアム(FM)府中圃場でコシヒカリとひとめぼれの陸稲栽培を行ったところ、ハワイでも短い成育期間で十分に育ち、日本国内の陸稲と同程度の収穫量を見込めることが分かった。
この成果は全米のなかで特に米の需要が高いハワイ州において食料自給率を高めるだけでなく、食料の価格変動や物流の遅延リスクへの備えとなる。また、日本にとっても大きな意義を持つ。
今後はハワイ産米の食味や品質評価、地域の消費者、飲食店などとの連携とともに、雑草対策や灌漑、播種期の最適化、機械化・省力化などを予定している。ハワイ産米のブランド化を通じて地元の食糧自給率の向上や雇用促進、若手人材育成を目指す。また、日本国内の陸稲栽培技術の向上へと波及させる。
