東京科学大学の西村久明助教らの研究チームは、台風通過後に脳卒中による緊急入院のリスクが上昇し、特に出血性脳卒中(脳内出血、くも膜下出血)でその傾向が顕著であることを明らかにした。

 台風は日本を含むアジア太平洋地域で最も頻繁に発生する自然災害の一つであり、気候変動の影響を背景に、勢力の増大や台風の影響が少なかった地域での被害の顕在化が懸念されている。一方、こうした自然災害の健康影響を明らかにした研究はほとんど行われておらず、特に脳卒中について、その類型別に台風の影響を評価した研究は世界的にも例がない。

 今回、日本全国の2011年から2021年までの11年間のデータを用い、5月から10月(台風発生月)に発生した脳卒中による緊急入院症例を対象として、台風への曝露と緊急入院との関連を分析した。

 解析の結果、台風がない期間と比べて、台風曝露当日から6日後までの計7日間にわたり、脳卒中全体による緊急入院のリスクが1.049倍に上昇することが明らかになった。特に出血性脳卒中ではリスク上昇が顕著で、出血性脳卒中全体で1.129倍、脳内出血1.131倍、くも膜下出血1.094 倍といずれも上昇傾向が示された。

 台風は急激な気圧の低下を伴うことが知られており、既存研究では、気圧低下が血圧上昇を通じて出血性脳卒中のリスク増加に関与する可能性も指摘されている。こうした背景を考えると、台風通過後には脳卒中リスクが高まり得ることに注意が必要であり、気候変動下の健康影響対策として、熱波だけでなく台風などの自然災害も視野に入れた取り組みが求められるとしている。

論文情報:【Environment International】Association between tropical cyclone exposure and stroke hospitalization: A nationwide time-series analysis in Japan

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