石川県立大学緑地環境学研究室の上野裕介准教授と、北海道教育大学(三上修氏)、NPO法人バードリサーチ(三上かつら氏)、山階鳥類研究所(森本元氏)らの共同研究グループは、雪国で広く使用されている冬道安全用の「固定式視線誘導柱(矢羽根つきポール)」が、スズメ類の営巣場所として広く利用されていることを明らかにした。
矢羽根つきポールは、吹雪などの悪天候時にドライバーが道路端の位置を把握できるよう、白線の位置を示す目的で、積雪地域の道路沿いには多数設置されている。今回の研究では、こうした矢羽根つきポールの内部構造に着目し、その空洞部分にスズメ類が営巣している事例を見出した。
調査の結果、矢羽根つきポールの金属製の横棒にある空洞が、鳥の巣穴として適したサイズであることが判明した。推定では、北海道内に設置されている約28万本の矢羽根つきポールのうち、数万本がニュウナイスズメやスズメの営巣場所として利用されている可能性があるという。また、ポールの設置本数が多い道路沿いでは、ニュウナイスズメの個体数も多くなる傾向が示された。
本研究の結果は、人間の安全確保を目的として設置された道路インフラが、意図せず野生生物の生息環境の一部として機能していることを示すものであり、人工物と生態系との新たな関係性を浮き彫りにした。雪国に共通するインフラ整備の課題に、新しい視点を提供したとも言える。研究グループは今後も、人と自然が調和する社会の実現を目指した研究を続けていくとしている。
