沖縄県の久米島で2012年に根絶されたサツマイモの害虫・アリモドキゾウムシが2021年に再侵入した際、迅速に根絶された。岐阜大学応用生物科学部の日室千尋准教授、沖縄県病害虫防除技術センターの清水優子主任研究員(当時)らの研究グループが、検出から再根絶までのプロセスと迅速な防除対応の有効性を検証した。
サツマイモの重要な世界的害虫であるアリモドキゾウムシは体長約6mmのゾウムシの1種で、日本国内ではトカラ列島以南の南西諸島、及び小笠原諸島に分布する。食害されたサツマイモは人畜にとって有害となり、その経済的損失は、世界中で年間100万ドル以上と言われている。2022年10月には静岡県浜松市の沿岸部で本州初の侵入が確認され、緊急防除によって2024年11月末に根絶が達成された。アリモドキゾウムシの被害は南西諸島だけでなく本州のサツマイモ産地にとっても脅威であり、警戒が必要である。
研究グループによると、沖縄県久米島では2012年に世界で初めて不妊虫放飼法※によって根絶に成功。その後も継続的な監視が行われてきたが、2021年8月、雄成虫1個体が性フェロモントラップで捕獲された。
侵入確認後、直ちに補助トラップを増設し、発生源の特定を試みた結果、特定のサツマイモ畑周辺で成虫が繰り返し捕獲されたが、サツマイモや野生寄主植物からは幼虫や成虫は確認されなかった。そこで侵入個体の拡散を防ぐため、発生源と推定された圃場ではサツマイモを完全に除去するとともに、周辺約100ヘクタールの範囲で不妊虫放飼法を実施した。
その結果、最後に成虫が捕獲されて以降、アリモドキゾウムシは2世代分に相当する期間にわたり一切検出されず、本侵入個体群は再び根絶されたと判断された。
過去の国内侵入事例と比較すると、本事例は防除面積に対して極めて短期間で根絶が達成されており、早期発見と迅速な対応の有効性が明確に示された。また、侵入初期・低密度段階では性フェロモントラップによる常時監視が極めて重要であることも分かった。
本成果は、侵入害虫対策における「早期警戒・迅速対応(EDRR)」の実践例として、今後、日本国内のみならず、海外における侵入害虫管理や持続的農業の推進に貢献することが期待される。
※対象となる害虫を大量に増殖し、放射線等で不妊化し野外へ放すことで野生虫同士の交尾を妨げ、繁殖を阻害、害虫密度を抑制し、やがて根絶に至らせる害虫管理法の1つで、環境負荷の少ない防除技術。本事例では、約200日間にわたり、累計約300万頭の不妊虫が放飼された。
