埼玉工業大学工学部 生命環境化学科 環境物質化学研究室 兼クリーンエネルギー技術開発センター長の本郷照久教授の研究チームは、大学のある深谷地域の課題を解決する研究に取り組んできた経験を活かして、新たに、埼玉県越生町特産の梅の未利用バイオマス(剪定枝・種)から、地域ブランドの向上に貢献する資源化技術を開発した。本技術は2026年2月13日・14日に開催された第31回全国梅サミットで紹介された。本郷教授の環境物質化学研究室は、2025年度彩の国埼玉環境大賞の県民部門で大賞を受賞した実績も持つ。
埼玉県越生町には関東三大梅林として有名な越生梅林があり、広大な梅林は開花時期に約2万本の梅が咲く名所となっている。梅の木は、健全な育成のため年に数回ほど適切な剪定が必要となるため、毎年大量の剪定枝が発生し、多くが廃棄されている。剪定枝のごく一部は梅の草木染に利用されストールが製造・販売されているものの、資源化や有効活用が課題だった。また、梅の実を利用した羊羹、ゼリー、ジャムなどの加工食品の製造過程においても大量の種が副産物として発生し、利用されずに廃棄処分されている。
本郷教授の研究チームは、大量に廃棄処分されている梅の剪定枝を資源化するために、活性炭として利用する研究に取り組み、活性炭を製造する技術の開発に成功した。活性炭は、汚染水の浄化処理に加えてヘルスケアや美容分野における吸着材としても利用可能で、資源循環を実現する技術としての応用が期待できる。しかも梅の剪定枝で作った活性炭は、比較評価の結果、市販の活性炭であるヤシ殻活性炭や石炭系活性炭よりも吸着性能が高く、地域の未利用バイオマス資源の循環利用に資する素材として有望といえる。
またこの技術では、剪定した梅の枝をシュレッダーなどで細かく粉砕して高温で炭化したのち、薬品賦活処理を施して活性炭を製造するため、複雑な専用装置を新しく設置する必要がない。そのため町工場が適切な設備を備えた拠点と連携すれば、量産展開が可能となる。
次に廃棄される梅の種については、炭化して得られた梅種由来バイオ炭と石油由来のポリプロピレンを1:3で混合させ、射出成形機でお皿に成形加工する技術を開発した。この成形加工技術は、埼玉県吉川市のプラスチック製品加工メーカーのコーワプラス株式会社と連携して開発した汎用的な成形機で、新たに専用の装置を開発・導入することなく、梅の種を原料としたバイオ炭とポリプロピレンの混合物を成形加工できる。
今後は同社と協力して梅種由来バイオ炭/ポリプロピレン複合樹脂の開発を継続していく計画で、こうした取組みを通じて、埼玉工業大学は地域の未利用バイオマス資源(廃棄物)を複合樹脂成形品へつなぐ循環型ものづくりのモデルを形成し、化石資源の使用削減と、廃棄されている梅の種の活用により資源循環の向上に貢献する。
