大阪大学大学院の兼本大輔准教授の研究グループは、体温と外気のわずかな温度差で得られたエネルギーだけで動作する無線脳波伝送システムを実証。大阪・関西万博での屋外実験で、外気温32℃台の高温でも動作することを確認した。
近年、ウェアラブル機器やIoTデバイスの実用化が進む中、バッテリー寿命や充電の手間は大きな課題で、高精度な信号計測などは省エネでの実現が難しい。省エネで動作し、外部電源に頼らず、エナジーハーベスター(環境エネルギーを電力に変換する発電素子)で半永久的に動作するセンシングシステムが必要とされる。
研究グループは今回、波形類似性に基づく復元手法を圧縮センシングに組み込み、熱電発電素子を備えた無線脳波伝送システムを構築。このシステムにより、外部電源(電池・有線給電)や人工的な温度差を要さずに脳波が無線伝送できることを、大阪・関西万博で実証した。
実証では、熱電発電素子に手のひらを当て、体温と外気温(32℃台)の温度差から得られる電力のみでセンサー側(送信側)を駆動。その結果、センサー側で圧縮した脳波を無線送信でき、受信側で高精度に復元できることを確認した。
今回の結果は、高温の屋外環境で体温と外気温の温度差が小さく、発電量が限られる状況でも、簡単な発電デバイスで得られるわずかなエネルギーでセンサー側が動作し、無線送信と受信側での復元が成立することを示している。
今後は、脳波に限らず、心電・筋電などの生体信号やインフラ・機器の振動などに、この省エネ技術を展開し、エナジーハーベスターを電源とするバッテリーフリー計測技術として、日常的な健康管理や社会インフラの見守りなどに応用できるとしている。


