大阪大学大学院の田雨時助教らの研究グループは、コロナ禍後の一般用医薬品の使用状況とそれらに影響を与えうる背景要因を探索。性格特性(外向性、協調性など)やデジタルヘルスリテラシーなどが影響を与えることを明らかにした。
セルフメディケーションとは、軽度な不調に対して医療機関を受診せずに、自分自身で健康管理を行い、一般用医薬品などを使用してセルフケアをすることを指し、医療費削減を目的とした施策の一環として推奨されている。また、新型コロナウイルス感染症の流行を契機に、日本人の健康意識は向上し、呼吸器系症状に対する公衆衛生行動も変化した。
そこで研究グループは、全国の成人1,086名を対象にオンライン調査を行い、風邪や咳など軽症疾患について、症状発生の「初期段階」と「持続段階」におけるセルフメディケーションのパターンを比較分析した。さらに、症状の発症場所を国内と海外の二つに区分し、一般用医薬品の使用に地域差があるかどうかも調査した。
調査の結果、風邪・咳症状の発生段階における一般用医薬品の使用割合は約43.6%、症状が1週間以上持続した場合の医療機関受診率は61.7%だった。また、回答者の80%以上が一般用医薬品の用量用法を厳密に遵守していた。
また、セルフメディケーションや一般用医薬品の適切な使用に影響を与える要因は以下が示された。
(1)外向性が高い人(社交的で人と関わるのが好きなタイプ)は、症状が長引いた際に医療機関を受診する傾向が強い。
(2)ヘルスリテラシー尺度のスコアが高い人(インターネットで健康情報を上手に探せる人)は、一般用医薬品の使用期限を確認したり、医薬品の選択を迷った時にインターネットで情報収集を行ったりする傾向がある。
(3)子育て中の人は一般用医薬品の用法・用量を厳密に守らない傾向がある。
(4)海外渡航時には、日本国内にいる時よりも医療機関の受診を選択する傾向が約2倍に増加した。
今回の結果から、セルフメディケーションには「性格」や「情報リテラシー」などの個人特性が関係していることが分かった。今後、教育や啓発活動、そして信頼できる医療情報を入手できる環境の整備を進め、安全で効果的なセルフメディケーションを普及することが期待されるとしている。


