東北大学の栗山進一教授らと、京都大学、岩手医科大学の研究グループは、日本の一般住民6万人超の遺伝情報を解析、社会的孤立と関連する遺伝的特徴を見いだし、脳や神経の働きとの関係が知られている遺伝子の関与が示唆されることを明らかにした。
これまで、社会的孤立は家庭・職場環境、地域社会の特性など、主に社会的・環境的要因から説明されてきた。しかし、同じ環境でも人とのつながり方には個人差がある。研究グループは社会的孤立現象での生物学的な個人差の関与に着目した。
東北メディカル・メガバンク計画(東日本大震災被災地域住民の健康調査)による住民のデータ基盤から、参加者6万人以上の情報を用いて解析した。「寂しさ」などの主観的評価ではなく、「月に1回以上やり取りする親族や友人は何人いるか」「困ったときに頼れる相手が何人いるか」など家族・友人とのつながりを評価する標準化された尺度を用い、「ゲノムワイド関連解析(GWAS)」を行った。
その結果、社会的孤立のなりやすさには、遺伝的な個人差が関与する可能性が示された。また、家族のつながりと友人のつながりでは、関連する遺伝的要因が異なる可能性が示唆された。関連するゲノム領域(遺伝情報中の個人差がある特定の位置・範囲)は、脳や神経系に関わる遺伝子の近傍に位置していた。
一方、社会的孤立の個人差の大部分は遺伝以外の要因から説明できることも判明。遺伝の寄与の度合いは小さいが、環境要因だけでなく生物学的な個人差の関与があることが明らかとなった。
今回の研究で、社会的孤立に生物学的背景が部分的に関与し得ることが示された。今後、「孤立しやすさ」の理解の促進が期待されるとしている。


