室蘭工業大学大学院の趙越准教授は豊田工業大学の藤貴夫教授らと協力し、「中赤外ハイパースペクトルイメージング」技術を用いて、広視野にわたる複雑な生体試料中に存在するマイクロプラスチックを迅速かつ高精度に検出・分類する手法の開発に成功した。
マイクロプラスチック汚染の実態把握や影響評価を行うためには、環境中や生体内におけるマイクロプラスチックの挙動や蓄積の傾向を正確に理解する必要がある。しかし、従来手法では測定時間が長く、広範囲の解析が困難だった。
そこで研究グループは、プラスチックの種類ごとに異なる「赤外光の吸収のしかた」に着目。特に中赤外と呼ばれる光の領域では、プラスチックの分子構造に応じて特有の吸収パターンが現れるため、その情報に基づいて、プラスチックの種類を識別することができる。
研究グループはこの性質を利用し、中赤外の情報を可視光として検出できるように変換する中赤外ハイパースペクトルイメージング技術を用いて、マイクロプラスチックの新たな検出・分類手法を開発。これにより、生体組織や混合試料の中に埋もれた、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンなど複数種類のマイクロプラスチックの「種類」・「形状」・「分布」を、分子固有の赤外吸収スペクトルに基づいて、広視野(約8.5 mm×11.6 mm)かつ高速(約8秒;広視野では従来数十時間要した)に可視化・識別することに成功した。
今回、広視野イメージングと分光情報を統合することで、「広い範囲を一度に」「短時間で」「試料を壊さずに」解析することが可能になった。今後は、高速化と検出感度の向上を図り、多様な試料への適用を進めていく予定としている。
