思春期特発性側弯症(AIS)の重症化に、「家族歴」と「初経年齢の遅さ」が関与する可能性があることを、藤田医科大学と慶應義塾大学の共同研究グループが臨床データと遺伝学的解析の両面から明らかにした。
AISは、10歳以降の主に女子に発症する原因不明の疾患で、脊椎が3次元的にねじれて体幹の変形を引き起こす。重症化すると、外見の変形だけでなく、腰背部痛や呼吸機能障害を生じることがあり、思春期人口の2〜3%に発症するとされる。
これまでの研究では、家族歴(同じ疾患を持つ血縁者の人数)や初経年齢の遅さが、側弯の重症度を表すCobb(コブ)角と関連することが示唆されてきた。そこで本研究では、約5,900人のAIS患者の臨床データと遺伝統計解析を組み合わせ、これらの関係を臨床・遺伝の両面から検証した。
その結果、家族歴がある患者はCobb角が有意に大きく、罹患した血縁者の人数が多いほど重症化するという用量依存的な関連が確認された。また、初経年齢が遅いほど側弯が重症になるという直線的な関連も認められた。初経時期で3群に分けて比較すると、最も早い群に比べて最も遅い群ではCobb角が平均約7度大きかった。
これらの臨床的関連を、大規模なゲノム情報を用いて調べたところ、遺伝的な因果関係を推定する「メンデリアン・ランダマイゼーション」により、初経年齢が遅い体質(遺伝的効果)が、側弯の重症化に因果的に寄与する可能性が遺伝的にも裏づけられた。さらに、初経年齢に関わる遺伝的要因は、AISの「発症のしやすさ」とは相関せず、「重症度」に特異的に関わることも明らかになった。
家族歴や初経年齢は問診で簡便に把握できることから、本研究の成果は、重症化しやすい患者を早期に見分ける「重症化リスクの層別化」に活用できる可能性があるとしている。今後は、初経年齢の遅さと重症度を結び付ける生物学的機序の解明により、重症化を抑える新たな治療法や予防法の開発にもつながることが期待される。
