九州大学大学院工学研究院の小江誠司主幹教授らの研究グループは、JNC株式会社との共同研究により、水素(H2)と一酸化炭素(CO)を燃料とする燃料電池触媒の開発に成功した。

 燃料電池の白金(Pt)触媒は、燃料である水素に含まれる極微量の一酸化炭素と結合(被毒)し、触媒活性が著しく低下するという問題点があり、一酸化炭素に耐性のある触媒の開発は燃料電池の分野において重要な課題となっている。

 今回の研究では、「自然界のH2酵素とCO酵素の機能を融合した新しい触媒」を開発した。この触媒を用いると、「水素と一酸化炭素が50対50の比率の燃料で燃料電池が駆動する」ことを見出した。今回の研究成果は燃料電池の分野において格段の発展と波及効果をもたらす可能性があるという。

 小江主幹教授は、自然界の2つの酵素(H2酵素とCO酵素)からヒントを得て、「COから触媒を保護する」という発想ではなく「COもH2と同じように燃料(電子源)として使用する」ことを考えたと語る。また、自然界を手本にした設計のため、環境に優しく、反応は「水中」で行ったという。

論文情報:【Angewandte Chemie International Edition】One Model, Two Enzymes – Activation of H2 and CO

大学ジャーナルオンライン編集部

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