中部大学の伊藤守弘教授らの研究グループは、三重大学と共同で、血管からのカテーテル挿入による治療中に心肺が停止した際、心臓マッサージによる蘇生効果を高める技術を開発した。

 心臓や脳、肝臓などの血管から直径が1、2mmほどの細い管状のカテーテルを挿入する検査・治療法は近年目覚ましく進歩している。しかしその間に、致死性不整脈や心肺停止が少なからず起こる。致死性不整脈には速やかに電気刺激や薬剤で正常な状態に戻す除細動、心肺停止には胸部を圧迫する心臓マッサージを行う。マッサージ中もカテーテル治療は中断できず、両方を同時に行う緊迫した状態となる。

 カテーテルテーブルは患者内部の血管構造を詳細に映しだすため、上下をX線装置に挟まれた形になる。このX線装置はアルファベットのCの形(Cアーム型)をしているためカテーテルテーブルは片側しか固定されていない(カンチレバー構造)。そのため、心臓マッサージ中は上下にたわむ。研究チームは、心臓マッサージの時に手で押さえる力の一部がテーブルのたわみに使われ、肝心のマッサージには十分に使われていないと考えた。

 今回、テーブルの固定されていない側をX線装置の定位置からわずかにずらし、下に安定化棒を装着して固定することで上下にたわまないようにする方法を考案した。実験の結果、安定化棒を装着すると、胸部圧迫の質はほぼ良好と示された。テーブルのたわみは0mmで圧迫深さは平均47.3mmまで増えた。たわみの減少分と圧迫深さの増加分がほぼ一致した。

 今回の結果を受け、患者が心臓カテーテル検査・治療中に心肺停止した場合に安定化棒でカテーテルテーブルのたわみを抑える方法を提案するという。

論文情報:【Journal of Interventional Cardiology】Effect of Using a Cardiac Catheterization Table-Stabilizing Stick on the Quality of Cardiopulmonary Resuscitation in the Cardiac Catheterization Laboratory: A Simulation-Based Study

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