2024年、実践女子大学の理事長に就任した木島葉子氏は、79年ぶりに誕生した同大学の卒業生理事長だ。1986年に家政学部を卒業後、外資系生命保険会社に入社。以降、キャリアを積み重ね、取締役専務執行役員まで務めた経歴を持つ。企業では、ダイバーシティ推進や女性活躍推進に取り組むなど、自身を含め、女性の社会進出の先陣を切り拓いてきた先駆者でもある。就任1年を経て、見えてきたこと、今後の課題などについて話を伺った。

 

ダイバーシティ推進、女性活躍推進の経験を、
大学というフィールドで役立てたい

 「理事長就任のオファーをいただいたとき、頭をよぎったのは創立者下田歌子先生の“女性が社会を変える、世界を変える”という建学の精神です。これまで会社で、ダイバーシティ推進や女性の活躍推進に取り組んできましたが、私自身の次のキャリアとして、この経験を大学というフィールドで役立てたい、より多くの女性が社会で輝けるように支援したいという想いが強くなり、オファーを受けることにしたのです」と語る木島葉子理事長。

 就任1年を振り返り、強く感じているのは、自身の学生時代とは異なる学びの充実ぶりだ。

「昔の座学主体の授業ではなく、グループワークやディスカッションを取り入れたインタラクティブな授業が豊富で、実践力が身に付く学びがあると思いました。学生たちは、事前準備もあるので大変だと思いますが、みなしっかり取り組んでいることにも驚かされました。一方で、本学には社会連携やグローバルプログラムなど多彩な学びのプログラムがあるのですが、学内の認識に比べて、学外へのアピールが足りていないとも感じました。私自身、理事長となって中に入ってみて初めて分かったことが多くありましたから」

 こうした気づきを踏まえ、木島理事長は自分の役目として大きく次の2つを掲げている。第一に、実践女子大学の強みを世の中にアピールしていくこと。つまり、大学のブランディング強化。第二に、実践女子大学だからこそできるリーダー教育とキャリア形成教育の確立だ。

選ばれる大学としてのブランドを確立。
学びの柱として「社会連携」と「グローバル化」に重点

 第一に掲げるブランディングでは、教育の柱として社会連携とグローバル化を重点におく。そのため、大学職員がチームとなって組織力を向上させ、継続的な取り組みができる体制をさらに強化していく考えだ。

 たとえば社会連携では、2020年に「社会連携推進室」を発足させているが、これまで取り組んだコラボ件数は累計700件以上。木島理事長は、「本学では正課授業の一環として、企業や自治体とのコラボ授業を展開しています。また正課外でも、企業と連携した研究プロジェクトやワークショップが多数行われています」と胸を張る。

 連携先には、日本の有名企業や自治体が名を連ねる。たとえば、大手航空会社とのコラボ授業では「地域活性化をテーマに企業の強みを活かした新規事業」の提案が、広告代理店からは「生成AIを活用した冬期休暇におすすめの活動」などの提案が求められた。学生たちは、地域の特性や魅力を調査し企画を提案、実際のビジネス現場に近い経験をしたという。

 2025年には先を見据え、授業の枠組みを超えた新たな社会連携の提案も始めている。渋谷キャンパスの1階に、企業と学生をつなぐ場として「JISSEN PLAY BASE」の本格運用を開始。企業の商品プロモーションやイベント出展に活用するほか、女子学生へのマーケティングの場としても提供し、企業と学生双方で新たなビジネスの価値創造を目指していく。

 「グローバル化についても、海外協定校への海外留学や外国人留学生の受け入れ、海外インターンシップなど多様なプログラムを設けています」と木島理事長。海外協定校は、ケンブリッジ大学、オランダ国立大学など68校と女子大トップクラス。海外協定校の拡大に伴い、海外派遣学生および外国人留学生の受け入れ人数が増加している。それに合わせて、留学生向けの奨学金の拡充にも取り組んでいる。将来的には、国際的な視野や素養を備えた学生や外国人留学生など、多様な背景を持つ学生があふれるグローバルキャンパスの実現を目指していく。

リーダーシップを発揮できる環境や、
志向や価値観にそった学び・経験の機会を提供

 第二に掲げる、実践女子大学だからこそできるリーダー教育とキャリア形成については、理事長の企業での経験・キャリアが存分に生かされるに違いない。「女性とキャリア形成」というキャリア科目で、6人のゲストのひとりとして登壇。理事長自身のビジネス最前線の話だけに、学生も真剣に耳を傾け、質疑応答でも盛り上がったという。

「教員ではないので、経験談しか話せません。大枠は3つ。自律的に仕事に取り組むこと、トライアンドエラーで臆せずに気になることにチャレンジすること、チームで取り組むと大きな成果が得られることを会社員時代のエピソードを交えて伝えました」

 学生一人ひとりの志向・価値観にそったキャリア形成支援ができるよう、さまざまな挑戦ができる環境も整える。女性だけの環境でリーダーシップを発揮できる機会もあれば、渋谷4大学連携単位互換制度により青山学院大学、國學院大學、聖心女子大学に通う学生と同じ授業を履修することもできる。さらに、電気通信大学と連携・協力協定を締結し理工系分野への学びも広がっており、多様な挑戦環境が用意されている。

 「実践女子大学は学びの選択肢が多い大学です。望めば企業と具体的にコラボすることで女性のキャリア形成も学べ、また学内・学外問わずグローバルな経験ができる唯一無二の大学だということを、ぜひ皆さんに知ってほしい。そのためにも、魅力をしっかりと伝え、選ばれる大学へとブランディングを強化していきたい」と、言葉に力を込めた。

【実践女子大学】
電気通信大学との単位互換科目の集中講義を実施
https://www.jissen.ac.jp/activity/year2025/20250910_gaku1.html

Jissen PLAY BASEでBEAMSが限定ショップをオープン
https://socialcooperation.jissen.ac.jp/topics/9528/

「Go global project」にて産官学が連携して「若者の海外挑戦」を議論
https://www.jissen.ac.jp/global/year2025/20251029.html

実践女子大学

木島葉子 理事長

1963年 東京都出身
1986年 実践女子大学家政学部卒業
1986年 現・アフラック生命保険(株)入社
2020年 実践女子学園 理事
2024年 アフラック生命保険(株)退社
2024年4月~現在 実践女子大学 理事長

 

実践女子大学

優しさと強さを育む実践教育。人と社会を支える力へ

実践女子大学は、教育理念「品格高雅にして自立自営しうる女性の育成」を掲げ、社会で活躍するための能力を身に付けた自立した女性を育成。「都心の渋谷」「自然豊かな日野」の2つのキャンパスで、時代に合わせた実践的な学びを提供しています。演習(ゼミ)や実験・実習など、少[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

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