福岡女子大学と九州大学の共同研究チームは、九州の沿岸域で採れた天然ワカメをDNA解析により高精度に識別できる新手法を開発。地理的に近い地島と志賀島の天然ワカメが、それぞれ独立した遺伝的グループを形成していることを明らかにした。産地偽装防止やブランド保護への貢献が期待される。

 日本で流通するワカメの95%以上は養殖物で、天然ワカメは生産量が限られ、福岡県宗像市の「地島産天然ワカメ」などのように希少価値が高い。天然のブランドを科学的に裏付ける手段にDNAによる産地識別技術があるが、近い海域で育つ天然ワカメは遺伝的に類似し、通常のDNA解析では識別が難しい。そこで研究チームは細かい遺伝的な違いが現れやすい新しいDNA領域を探索した。

 研究では、福岡県の地島と志賀島、熊本県の天草、大分県の国東半島で採取された天然ワカメ(各地10〜20個体)からDNAを抽出。ミトコンドリアDNAの特定の遺伝子領域を、PCRという実験手法によってDNAを増幅し、その塩基配列(DNAの文字列)から、地理的に近い集団間の違いを検討した。

 その結果、約30kmしか離れていない地島と志賀島の天然ワカメは、それぞれ独立した遺伝的グループを形成していた。一方、九州の反対側に位置する熊本県・天草と大分県・国東半島の天然ワカメは、ほぼ同一の遺伝的グループを形成し、DNA解析では区別が困難だった。この遺伝的類似性は、天草周辺のワカメが昭和30年代に国東半島沿岸へ移植されたことによる可能性があるという。

 今回の成果は、地元の天然ワカメブランドを科学的に裏付けるだけでなく、産地偽装の防止や流通の透明性向上に直結する技術としても期待されるとしている。

論文情報:【Phycological Research】Molecular identification of geographically close Undaria pinnatifida populations: toward DNA-based branding of wild wakame

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