名古屋大学、就実大学、昭和女子大学、常葉大学、米ラトガース大学の共同研究グループは、6カ国の人々が共通して、心の発達を「知覚」と「内省」の二次元構造で捉えていることを明らかにした。
知覚や感情、思考、判断に関わる心的能力の発達パターンについては、科学的知見が蓄積されている一方で、人々が心の発達を直感的にどのように捉えているのかは十分に明らかになっていない。こうした発達観は、親や教育者、研究者が子どもの能力をどのように理解・評価するかや、社会が人間の成長の可能性をどのように捉えるかにも影響し得る重要な認知的基盤である。
本研究では、40種類の心的能力について、人生のどの時期に発達すると考えられるかを、日本、オーストラリア、メキシコ、南アフリカ、英国、米国の6カ国の成人に回答してもらった。回答を分析したところ、「見る」「空腹を感じる」といった「知覚」の次元と、「自制する」「善悪を判断する」といった「内省」の次元からなる二因子構造が、すべての国で一貫して確認された。また、人々は、「知覚」の能力を比較的生まれつきのものとして、「内省」の能力を比較的経験によって育まれるものとして捉える傾向があることも確認された。
一方、ロボットなど人間以外の対象も含めて心を比較する文脈では、「知覚」と「内省」の二次元構造ではなく、従来研究で提唱されている「身体・マインド(認知)・ハート(感情)」からなる三次元構造が現れたという。この結果から、人々の心の捉え方は固定的ではなく、人間の発達として考える場合か、人間以外の対象も含めて比較する場合かといった文脈によって構造が変化することも明らかになった。
本研究成果は、人々が抱く発達や教育に関する直感的な考え方を理解するうえで新たな手がかりとなる。今後は、人々の「心の発達観」と実際の発達との関係をさらに明らかにすることも重要だとしている。
論文情報:【Psychological Science】How Does the Mind Grow? Cross-Cultural Intuitive Theories of Mental Development※査読済み著者最終稿(無料公開)

