山形大学に保管されていた試料「RIU2」が、科学分析の結果、天然ウランであることが明らかになった。

 RIU2は、戦時中にウラン研究に携わり、昭和20年(1945年)に山形へ疎開した研究者・木越邦彦との関わりが示唆されている試料である。木越は疎開後、旧制山形高校(現・山形大学)でウラン関連実験を続けたとされるが、それを直接示す資料はこれまで見つかっていない。RIU2の薬品瓶に、実験との関連を示唆するラベルが貼られているのみである。

 本研究では、このように来歴が限られた保管試料を戦時期の研究史資料として読み解くとともに、安全管理を適正化するため、ラベルに残る文字情報の検討と試料の科学分析を行った。

 まず、ラベルには、「分離管壁」「附着セル」「U化合物」「昭20.5.11」と判読される記載が確認された。木越が山形へ疎開した時期と重なっており、当時のウラン関連実験との関わりを示す重要な手がかりである。続いて、薬品瓶を開封して分取した試料を分析した結果、235U(ウラン235)の存在比は0.72%で天然ウランと整合した。主成分はU(ウラン)、F(フッ素)、O(酸素)に加えてCu(銅)が検出され、結晶相の解析からはUF4(四フッ化ウラン)を主体とするウランフッ化物混相である可能性が高いことがわかった。

 この結果を受け、従来「劣化ウラン」として登録されていた本試料は、分析結果に基づいて保管・取扱区分に関わる登録情報が見直されたという。

 木越は戦後、日本初の放射性炭素年代測定を成功させ、日本の放射性炭素年代研究を切り拓いた研究者として知られる。山形大学でも現在、加速器質量分析を活用した研究・教育が進められており、本研究は、木越の時代から現在へと続く同大学の放射線研究の連続性を捉え直す契機となるものだとしている。

論文情報:【RADIOISOTOPES】山形大学に残されたウラン濃縮実験関連試料RIU2の科学分析

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