コロナ過の厳しい状況の中正々堂々と競い合った

2年ぶりに全国大会開催!606校7168人がエントリー

科学の甲子園は、全国の科学好きな生徒が集い、競い合い、活躍できる場を提供し、科学好きの裾野を広げ、能力伸長を目的としています。今年の大会には、606校から7168人のエントリーがありました。

開会式では、代表校の紹介が行われ、各校が思い思いにチームをアピールし、最後に決めのポーズを披露しました。大会は初日に科学に関する知識とその応用力を競う筆記競技を、2日目に実技競技を行い、最終日に表彰式と優勝校記者会見が行われました。

「第11回科学の甲子園全国大会」は令和4年3月下旬に茨城県つくば市で開催される予定です。

筆記 教科・科目の枠組みを超えた 融合的な問題に挑む

筆記競技は各チームから競技者6人を選出して行われました。競技時間は120分。理科、数学、情報の中から習得した知識を活用して解く問題で、教科・科目の枠組みを超えた融合的な問題など計12問に挑みました。

第2問のゴルフの設問では、ゴルフボールの位置からカップまでの断面図が示され(地形は平坦なスロープからなる山型)、ゴルフボールとカップが同一水平面上にあるとき(ゴルフボールの大きさは考えず転がりの影響は無視する)に斜面にゴルフボールが留まっていられる条件やパターでゴルフボールを打った時のボールの初速をヘッドスピードで表したり、山型の頂点に到達するまでのボールの運動方程式を問うなど、数学や物理という分野融合的な問題でした。【ページ下に解説】

選手は、教科・科目の枠を超えた問題に対し、得意分野の異なるメンバーが、チームワークを発揮し、難問に挑みました。筆記競技は渋谷教育学園幕張高校(千葉県)が最高得点をあげ、第1位の花王賞に輝きました。

実技① Challenge―18プログラミングで問題を解く!

「Cha llenge ‒18」(競技者3人・競技時間100分)は各チームに2台の競技用PCが配布され、そのPCから競技専用のサイトへログインして、情報に関する問題を解く競技。問題は【素数】【竹内関数】【2進法】【和が決められた数列】【約数】【部分文字列】【整数】【ドレミ暗号】【文字列操作】【数列操作】の10のカテゴリーからなっており、これらを解くためには知識のみならず、計算が必要となってくる。計算は手計算だけではなく、効率よく計算結果を出せるようPCでプログラミングを行うことが求められた。プログラミングによる問題解決の有用性を感じてもらうことが意図されています。【ページ下に解説】

今回は、筑波大学附属駒場高校(東京都)と愛知県立旭丘高校が全問正解しましたが、特定の問題の解答時間により順位が決まる方式が組み込まれており筑波大学附属駒場高校が1位となりました。

実技② Xの正体を暴け! 3種の実験で有機酸Xの構造式を推定

「Xの正体を暴け!~アスコルビン酸と有機酸Xの滴定~」(競技者3人・競技時間100分)は与えられた白色粉末(アスコルビン酸と有機酸Xの化合物)に3種類の実験を行い、アスコルビン酸と有機酸Xの混合比を決定し、有機酸Xの構造式を推定する競技。採点では実験手順や実験結果、考察なども問われるため、十分な実験計画をたてることや実験技術の高さや正確さ、豊富な知識や思考力、発想力、チームワークなど複合的な要素が求められました。【ページ下に解説】 最高得点を獲得した北海道旭川東高校が1位に輝き、旭化成賞を受賞しました。

実技③シャトルウィンドカー自ら作り出す風を力にして進め!

事前に公開された実技競技の「シャトルウィンドカー~全集中!科学の呼吸~逆風を追い風に」(競技者4人・競技時間150分)は、用意された部品・材料と工具類を使用して、60分以内に自作のファンをモーターに取り付けた機構(送風機構)から出る風のみを推進力とするシャトルウィンドカーを製作し、規定のコースのスタート・ゴールエリアからリターンエリアの間を、荷物なしと荷物ありでそれぞれ往復して、スタートからゴールまでの2往復にかかった時間とゴール時の荷物の重量を競う。

送風機構はウインドカーに固定されるため、向きを変えることなく直線上のコースを走らせないといけないので、進行方向を反転させる反転機構が必要となる。事前公開されていたため、各チーム準備万端で臨んでいたが、午後6時過ぎに、宮城県で震度5強の地震が発生した影響で2回目の試技が中止となるハプニングがあった。

1回目の試技で満点をだした7チームが1位となり抽選により、群馬県立前橋高校がアジレント・テクノロジー賞、栄光学園高校(神奈川県)がナリカ賞、総合優勝を飾った京都府立洛北高校、富山県立富山中部高校、愛光高校(愛媛県)、土佐高校(高知県)、宮崎県立宮崎西高校の5校が優秀賞となりました。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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