新課程元年の昨年および今年、さらに来年にかけては、これまで右肩下がりだった18歳人口が一旦、踊り場を迎える。そこで各大学では、2031年度以降の減少期や、さらにその先の2040年度以降の急減期を見据え、学生募集について様々に工夫を凝らす。昨年、首都圏で話題となった大規模な学校推薦型公募制入試の展開などもその一つ。他にも大手私大や公立大学の定員増も進み、踊り場とはいえ入学者獲得競争は熾烈を極める。

 大学と専門学校の良さを足し合わせた新しい大学として2018年に制度化され、2019年度から開設の始まった専門職大学においても例外ではない。この間、実務家教員や臨地実務実習(長期インターンシップ)先の確保等がハードルとなり、成功事例は少ないとされているが、その中でも健闘している大学の一つがiU情報経営イノベーション専門職大学。2020年に開学、開設6年目となる今春には、売り物である就職実績や起業率では2期連続で驚異的な実績をあげている。「ただ、生命線である学生募集については課題も多い」と語る古賀副学長に、一般入試を間近に控えた今、どんな入試改革で対応されるのか、将来展望なども含めてお聞きした。

 

起業率は2年連続で首位の専門職大学

 ――長年、専門学校の校長をご経験されてきたとお聞きしています。入学者選抜とは少し離れますが、これまでの五年間、《大学》という新しい器の中で副学長として運営を支えてこられた経験から、専門学校と大学との違いについてお感じになっていることがあればお聞かせください。

古賀:そうですね。やはり文化の違いを相当経験しました。社会へ出て即戦力となるための実践的な学びを重視する専門学校の長所を取り入れた専門職大学ですが、やはり大学という器を整え、そこで教えてきた教員も混じることで、専門学校とは大きく異なる文化ができあがりつつあります。しかし、600時間相当の臨地実務実習(20単位)、4割以上が実務家教員といった設計は素晴らしいものですから、今後も新しい形の大学の未来形を目指していきたいと考えています。その際、専門学校の学生募集の長所は大いに生かしていきたいと考えています。

――具体的には?

古賀:専門学校では通常、春先から徹底した教職協働で高等学校を回ります。大学よりも半年早い。また長年の蓄積から、高校の先生方とのコミュニケーションは強いですから、生徒一人ひとりの顔の見える募集活動が行えます。18歳人口が減少し、伝統ある大学といえども入試の選抜機能が薄れる中、一学年定員160名という少人数制を活かし、これまで以上に丁寧な募集活動を目指しています。実際、今年度からは、募集広報窓口を日本電子専門学校と一本化し、大学と専門学校の両方の募集活動を行うようにしています。活動範囲は広がりますが、その効果は徐々に現れてくると期待しています。

――なるほど。この春には第2期生を送り出されたと思いますが、就職率や起業率あるいは他大学の大学院進学等で何か変化がありますでしょうか。一期生には、新設の理念を十分理解し、賛同されて入られた学生さんが多かったと思いますが、変化はなかったでしょうか。

古賀:すでにホームページ等に掲載させていただいているように、就職率は97.1%と昨年の97.5%と遜色ありません。また、経済産業省による「産業技術調査事業(大学発ベンチャーの実態等に関する調査結果)」によると、起業率は一期生4.17%に対して2期生5.59%と伸びていて2年連続で首位、起業数は31社で6位の昨年に比べ39社で8位になりました。またそれまで2年連続で首位だった起業増加率も184.8%で4位と高水準を維持しています。また大学院への進学では、昨年の東京大学、慶応義塾大学に続いて今年は新たに東京理科大学への進学者が出ました。

――それは何よりですね。ではここで、学生募集についてお話ください。

古賀:18歳人口が踊り場と言っても、厳しさは変わりません。また開設時に比べ、既存の大学も、実践型の教育をアピールするようになってきていて、差別化を図りにくくなってきています。 そこで今春の入試では、1月の願書締め切り段階の様子を見て、3月の一般入試C日程の後にさらにもう一回、3月後半に入試を実施しました。結果としては5名の受験者が来られみなさん入学につながりました。これは受験生、本学双方にとって喜ばしいことでしたし、受験生が最後まで迷われていることを知るいい機会となりました。

入試改革し続ける専門職大学~「生成AI活用型選抜方式」を新設構想

――3月末日の最後まで、粘られるわけですね。来年度入学者のための年内入試の状況の方はいかがでしょう。

古賀:従来通り順調です。総合型ではD、E、F、G日程を、学校推薦型では、指定校推薦、公募制推薦ともにB日程を残していますが、100名の募集人員に対して、現在8割の方が入学を希望されています。首都圏でも、大規模大学中心に年内入試が徐々に一般化されるようになり懸念していましたが、少しほっとしています。

――いよいよ一般入試のシーズンに入りますが、今年からは一般入試の改革が目玉とされていますが、具体的にポイントをお知らせください。

古賀:開学以来の変更として、A、B、Cすべての日程において、従来の3教科入試に加え、3教科の中から2教科を自由に選べる2教科入試を導入します。これは英、数、国の3教科から、ご自身の得意な教科、例えば数学と英語、あるいは国語と英語といったように2教科で受験できる方式です。高等学校の現場からすれば、一般入試では最低でも3教科は課すべきだとのお声も聞かれそうですが、一期生の事例では、入学後の補習、あるいは専門を学ぶ際のモチベーション次第では、2教科でもあまり問題のないことが分かってきたからです。 ちなみに昨年は30名の定員に対し、ほぼ同数の応募があり、今年の応募者はそれ以上になるのではと期待しています。

――なるほど、その他にも将来の人口減少を見据えて、何か改革をお考えでしょうか。

古賀:来年度の総合型選抜(2026年度実施、対象は2027年度入学者)では、AIを自由に使って回答する「生成AI活用型選抜方式」を新設します。詳細については、後日公式サイト等で公開しますが、AIの活用が社会全体に広がる中、本学ではAIを単なるツールではなく「共創のパートナー」と捉え、それを活用しながらも自ら思考し、価値を創出する力を備えた人材の育成を目指していますが、その理念に基づいた新しい方式です。これまでも辞書持ち込み入試などがあったのと同様、入試においてもAIを自由に活用してもらうという方法があってもいいのではないでしょうか。AI大好きな方はぜひご期待ください。

学校法人電子学園
iU 情報経営イノベーション専門職大学 副学長 古賀稔邦さん

情報経営イノベーション学部・情報経営イノベーション学科

〒131-0044 東京都墨田区文花1-18-13 Tel 03-5655-1551 (日本電子専門学校系列校)

 

情報経営イノベーション専門職大学

まだない幸せをつくる。ICTを活用しグローバルにイノベーションを起こす人材を育成

2020年4月に開学した情報経営イノベーション専門職大学は、産業界と連携した新しい学びのプラットフォームです。産業界と一緒に、世の中にイノベーションを起こしていく人材を育成。「ICT」「ビジネス」「グローバルコミュニケーション」の3つを大きな柱とし、それぞれを[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

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