千葉県鎌ケ谷市・白井市・印西市が連携し、2025年12月20日に開催した小学生向け防災イベント「いきのこれ!! まなぼー祭」。千葉商科大学総合政策学部政策情報学科の学生が各市の支援センターやNPO職員と協力し、学生主体で実施した。学生たちはイベント運営を通してどのような学びを得たのだろう。企画・運営に携わった同学部学科2年の阿久澤由圭さんと小川菜月さんに伺った。

初めてのイベント運営で活きた、授業での学び
阿久澤さんと小川さんは、総合政策学部政策情報学科地域政策コースの2年生。朽木量教授のゼミナールに所属し、地域活性化などに向けた活動に取り組んでいる。最近は地域の魅力を盛り込んだ音声ガイド「Locatone™」の大学版制作を進めているそうだ。
ゼミナールを選んだ理由は、地域に向けて情報発信する活動や、イベント運営に興味があったから。そんな2人にとって、「いきのこれ!! まなぼー祭」(以下、まなぼー祭)の運営メンバー募集は、うってつけの機会だった。
「イベント運営に興味を抱いていましたが、イチから企画を立てたことはありません。大学生のうちに経験できることはやっておきたいと思い、メンバーに立候補しました。」(阿久澤さん)
イベント準備は半年ほどかけて行った。運営メンバーは学科・学年もさまざまで、初めて顔を合わせる人も多い。朽木ゼミナール生だけでなく、朽木先生が担当している授業や、千葉商科大学の公務員志望者が集まる「地域政策研究会」でも募集をかけたためだ。
「初めて話す人が多かったので、打ち解けるまでが大変でしたね。ただ、以前にも授業でグループワークをしたことがあったので、そこでの経験を踏まえて話し合いを盛り上げようと意識しました。周りに意見を尋ねるだけでなく自分の考えもきちんと発信する、話し合いが停滞しないよう準備をしておく、というのは普段の授業で得た学びです。」(小川さん)
朽木先生からのサポートもあったものの、あくまでも主体は学生。そのため学生同士で話し合ったアイデアを学外の大人たちに提案し、イベント内容を決めていった。
「地域の方と一緒に企画を進めるのは楽しくもあり、大変でもありました。いちばん大変だったのは情報共有です。どこまで情報が伝わっているのか、適宜把握するのに苦労しました。」(阿久澤さん)
「打ち合わせの日程を合わせるのも大変でした。学生同士ならすぐに声をかけて集まれますが、学外の方とは事前に日程を相談しておく必要があります。イベント運営は企画を立てる以外にもたくさんやることがあるのだと知り、ためになりました。」(小川さん)
地域の声を聞き、イベントを考える
「まなぼー祭」では、小学生とその保護者に防災知識を身につけてもらうために、学生が2つの企画を用意した。ひとつは「生き残れ!! 防災クイズ!」。3市対抗のクイズイベントで、各会場をオンラインでつないで対戦した。もうひとつは「安心を詰めよう!! ~未来を守る 防災リュック大作戦~」。小学生と保護者が、防災リュックの中身を考える体験型プログラムだ。

阿久澤さんと小川さんが担当したのは「生き残れ!! 防災クイズ!」。クイズの内容を考えるために、まずは鎌ケ谷市で小学生の子育てをしている母親たちに、ヒアリングを行った。
「お母さんたちはどのような内容をお子さんに知ってほしいのか。それを把握することが大切だと思って。取材で聞いた内容は、防災士の資格を持っているNPO職員と一緒にクイズの内容を決めていきました。」(小川さん)

「地域の声を聞く、というゼミナールでも取り組んでいる内容を、学外で実践できました。地域について知るためには何から始めたらいいのかわかりますし、調査方法も知っていてよかったです。」(阿久澤さん)
取材の成果はクイズの内容に反映された。たとえば「避難所に持って行くといいものは?」という問題。これは「避難所での暇つぶしの方法を知りたい」という母親の要望を起点に考えた。
「この問題の正解はトランプです。かさばらない、電気がなくても遊べる、遊び方が多いなどの利点があります。私もクイズを作るときに初めて知ったので、驚きました。」(小川さん)
小学生やその保護者の目線に立ったからこそ、出題できた内容だといえよう。ほかにも出題スライドの文字表記を一部ひらがなにするなど、小学生向けの工夫を施した。
「知ってほしい内容はたくさんあっても、持ち時間は限られています。本当に伝えたいことや防災で大切な部分を選び抜いてクイズを作るのに苦労しました。でも当日は子どもたちがとても喜んでくれたので、やってよかったな、と思えました。」(阿久澤さん)
オンラインによる3市合同開催、という点も特徴的だ。「3市で同時に何かを行いたい」という地域の声に応え、準備を進めていった。
「大変だったのは、目の前にいる方々だけではなく、別会場の反応も見ながら進めなければならなかった点です。私はメイン会場の鎌ケ谷市にいたので、ときおり別会場に向けて『正解しましたか?』と呼びかけたり気を配ったりして盛り上げました。」(阿久澤さん)
「リハーサルで機材の連携がうまくいかない、などトラブルに対処するのも大変でしたね。本番もドキドキのまま迎えました。」(小川さん)
イベントでの学びが、将来につながる
現在は公務員をめざして勉強している阿久澤さんと小川さん。公務員試験対策の授業が充実している千葉商科大学であれば、「地域と関わる仕事がしたい」という2人の想いを実現できそうだ。地域、公務員、そして「Locatone™」のようなメディア関連の内容など、すべてを経験できるのが総合政策学部政策情報学科の特長だといえる。
最後に、「まなぼー祭」での経験を今後の大学生活にどう活かしていきたいかを伺った。
「外部と連絡を取り合って情報を共有することの大変さと重要さを知りました。だからこそ、これからもチームメンバーと情報をすぐに共有することを心がけたいです。また、自分たちで話し合って企画を立て、誰かのために動くというイベントには今後も携わってみたいと思います。困っていることや解決すべきことを手助けできる活動をしたいです。」(小川さん)
「今回の活動を通して、企画運営の大変さを知りました。でもそれ以上に、楽しい、という気持ちが強かったです。大学生のうちに、またイベントの企画・運営に挑戦したいと思います。」(阿久澤さん)

