日本初のデータサイエンス学部が滋賀大学に誕生してまもなく10年。年間80件を超える企業や自治体との連携実績は社会から寄せられた信頼の証であり、学生にとっては実学に触れる貴重な経験となる。学部・大学院・社会へ、シームレスな学びを提供する滋賀大学データサイエンス学部の活動を紹介する。

AIが普及したからこそ高まるデータサイエンスの価値
いまやAIに触れない日はないと言ってよいほど、現代の様々なサービスの中にAIが入り込みつつある。この急速な進展に対する不安から「いずれAIが人間の仕事を奪うのではないか」との声もあるが、滋賀大学データサイエンス学部の佐藤健一教授は「だからこそ、データサイエンスがわかる人材が求められています」と断言する。
「もはやパソコンがない時代に戻れないように、AIなしの世界は考えられなくなるでしょう。技術やツールは時代と共に変化していきますが、大切なことは変わらず『データから何がわかるのか』です」
私たちは当たり前のようにパソコンで文書を作成するが、それは読み書きを学んだ経験があるからで、パソコンがあれば漢字の勉強は不要、とはならない。それと同じように、新しい技術やツールを使いこなすには基礎が重要。データの処理はAIに代替できても、データの価値を見出すことは人間にしかできない。そのための学びをデータサイエンス学部では提供する。
カリキュラムに盛り込んだ普遍的な学びと実践的な学び
データサイエンスで新たな価値を創り出す人材を育成するという方針は学部開設当初から変わらない。1年次にExcelでデータを扱う講義があるのは、与えられた条件下でデータの価値を考えるトレーニングになるからだ。
一方で、新しい技術を学ぶ講義も充実させており、2026年度から全学向けの「生成AIによるデータ分析」と、データサイエンス学部2年次を対象にした「生成AI活用演習」を開講している。前者は専門知識がなくてもAIを活用できることを目指し、後者は「インターンシップ先でDXなどデータサイエンス以外の仕事に携わる際に、学生が戸惑わないように必要な知識を事前にインプットする」ことが目的 。実社会に生かすことを強く意識したカリキュラムだと言える。
多彩な専門分野の教員が勢ぞろい。各自が好きなテーマを選び学べる
「企業や自治体との連携実績が豊富なことも本学ならではの特徴です。連携プロジェクトの主体はデータサイエンス・AIイノベーション研究推進センターですが、学部生や大学院生も案件に参加でき、履歴書に研究員としての実績を記載することもできます」
学部の教員は毎年増加し、今年度は37名になった。センターの教員も含めると58名超の研究者が在籍することになる。情報学と統計学はもちろんのこと、医療や創薬、気象、ゲームなど、専門性が多岐にわたることから、学生は自分の興味に合ったテーマを選ぶことができる。佐藤教授は「技術の進歩が速い領域なので、どんどん新しい情報を吸収し、それぞれの企業や団体で指導的な立場を担える人材になってほしい」と締めくくった。
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