北海道大学大学院医学研究院の衛生学教室の研究チームは、中東イエメンで2016年から生じているコレラの大流行が、2017年6月最終週までにピークを迎え、減少に転じたことをリアルタイムで実証することに成功した。流行の状況認識と今後の対応の考案に大いに役立つことが期待される。

 イエメンのコレラ大流行は、2017年4月27日以降の統計で、7月17日までに感染疑い患者356,591人、そのうち死亡が1,802人に上る。これまで、コレラ流行時に多くの疫学研究が実施されたが、観察データをリアルタイム分析して予測を逐次アップデートし、流行現場での現状認識に役立てる研究はほとんどなかった。

 今回、研究チームは、WHOが収集した感染疑い患者数と死亡者数に関する週報データを分析し、流行のリアルタイム予測を行った。2017年の第16週から第26週まで(4月16日~7月1日)の観察データを利用して複数の数理モデルを適合したところ、流行全体を通じて「ロジスティック曲線」では790,778人、「リチャードモデル」では767,029人の感染者が見込まれると推定。また、第27週(7月2日)以降は流行が減少に転じることが確実であり、第27週、28週、29週と進むたびに単調な減少が予測された。第26週までにイエメンのコレラ流行はピークを迎え、ちょうど減少に転じたことを、学術的に妥当な方法によってリアルタイムに実証することに成功した。

 リアルタイム予測を通じて現在から未来への流行動態を専門家と市民でコミュニケーションすることで、「いまどのような状況にあるのか」を知ることが可能となる。いまどのような状況にあるのかを知ることは、流行の状況認識と今後の対応の考案に大いに役立つとされる。

論文情報:【Theoretical Biology and Medical Modelling】Transmission dynamics of cholera in Yemen, 2017: A real time forecasting

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大学ジャーナルオンライン編集部

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