静岡県立大学薬学部医薬品情報解析学研究室は、ゼネテック社が国内で提供する、世界的に実績の高い離散事象解析の3Dシミュレーションソフト「FlexSim」を導入した。病院や薬局での患者の待ち時間の改善などの研究に活用する。

 近年、患者が複数の薬を服用する際に、そのタイミングの間違いや飲み忘れがないよう、同じタイミングで服用する複数の薬を1つの袋にまとめて提供する「薬の一包化」が進んでいる。一方で、これに対応するには薬剤師の担当業務が増えるため、薬を受け取るまでの患者の待ち時間が長くなる課題がある。この改善において、薬の一包化に対応するための機器や設備を導入する際、事前にシミュレーションすることで、導入後の運用効果を高めることが可能で、病院・薬局の経営・業務効率化に役立つことが期待される。

 そこで今回、医薬品情報解析学研究室では、シミュレーターを利用して病院や薬局での患者の待ち時間の改善を研究するために「FlexSim」を導入する。「FlexSim」は「人」や「モノ」が動く現場の見える化と最適化のための事前検証が、ドラッグ&ドロップ操作により誰でも簡単に行える離散事象解析の3Dシミュレーションソフト。薬学部薬学科の古島大資講師によると、使いやすさと見せ方が重要な医療分野においてプログラミング不要でシミュレーションモデルが作成でき、シミュレーションモデルが綺麗であること、医療分野の3Dモデルが豊富に用意されていて実際の病院や薬局のレイアウトが簡単に再現でき、人の動線も検証できる機能が備わっていることが導入の決め手になったという。

 今後はプログラミングの専門家でない医療従事者でも使いやすい「FlexSim」を積極的に活用することで医療現場の業務を可視化し、定量的な評価を積み重ねエビデンスに基づく意思決定を可能にする先進的な教育・研究に取り組んでいく。

参考:【株式会社ゼネテック】静岡県立大の研究室が、医療業務のシミュレーションにFlexSimを導入

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