京都大学、ハーバード大学、福島県立医科大学の研究グループは、ひらた中央病院(主たる研究機関)と共同で、2011年の福島第一原発事故で安定ヨウ素剤の配布と内服指示が実施された三春町の子どもを対象に調査を実施した。
同原発事故では放射性ヨウ素放出による甲状腺がんリスクが懸念され、各自治体は安定ヨウ素剤の配布・服用を実施。しかし、災害直後の対応実態や、安定ヨウ素剤投与と甲状腺疾患リスクに関する詳細な追跡データが不足していた。
研究グループは三春町在住の子ども1974名を対象に、アンケート調査による安定ヨウ素剤服用歴・生活状況と、自治体・研究所の甲状腺超音波検診結果を分析した。
その結果、安定ヨウ素剤の服用と甲状腺の要精密検査には差を認めなかった。同町の住民集団では事故後の放射線被ばく量が低く、食生活でのヨウ素摂取量も十分で、甲状腺への影響が最小限だったためと考えられる。また、甲状腺の体積や組織所見にも違いは認めず、安定ヨウ素剤の内服による副作用は大きくなかった。放射線被ばく量の低さや、日常的な海藻摂取等によるヨウ素栄養の充足の関与が考えられるという。
また、同原発事故発生時の妊婦の安定ヨウ素剤内服実態と、その後出生した子どもの甲状腺超音波検査結果も調査した結果、妊娠中に安定ヨウ素剤を内服した母親は34.9%だったが、内服有無で子どもへの甲状腺への影響の差は認めなかった。また、甲状腺の体積・組織所見にも差は見られなかった。
今後は、多地域での疫学・栄養・放射線量評価を進めつつ、災害時の健康情報提供の方策についても議論を深め、引き続き関連自治体・病院・学術機関・国際研究機関と連携を図りたいとしている。

