国立精神・神経医療研究センター、キングス・カレッジ・ロンドン、東京都医学総合研究所、東京大学大学院の研究グループは、近年、思春期女子のメンタルヘルスが悪化し、男子との差が拡大している現状を指摘した。

 思春期若者のメンタルヘルス問題は世界各国で深刻化している。大規模な国際調査では、女子のメンタルヘルス悪化によるメンタルヘルス・ジェンダーギャップ(メンタルヘルスの男女間格差)の拡大が示されている。日本でも、国際的知見を踏まえた最新動向の整理と関連する社会的要因の解明が求められている。

 今回のまとめでは、日本の厚生労働省統計を元に、2024年に20歳未満の女子の自殺者数が男子を初めて上回ったことを示した。女子430人、男子370人であり、10年前の「男子373人・女子165人」から逆転。日本における女子のメンタルヘルスの悪化が裏付けられた。

 論文では背景として、従来のジェンダー規範に沿った期待に応えながら社会的成功も求められる二重のプレッシャー、インターネットの不適切利用、対面だけでなくインターネットを介した性的搾取、過剰なやせ願望、思春期の早期化などが複合的に関与している可能性を指摘した。

 今回、国際的知見と国内統計を組み合わせて女子のメンタルヘルス悪化を提示した。これは社会の対応喚起に重要な意義を持っているとする。社会的要因との強い関連性が考えられる女子のメンタルヘルス悪化について、今後は因果媒介分析・交互作用分析による厳密な検討から、予防・支援策につなげるとともに、若者自身の声を反映させながら、社会全体の連携による包括的な対応が必要としている。

論文情報:【Nature Human Behaviour】The Silent Crisis in Girls’ Mental Health

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