上智大学総合人間科学部看護学科の研究グループは、日本のカトリック大学の看護系学部・学科を調査し、これらの大学が十分なカトリック・アイデンティティを備え、それがカトリックの社会教義とも整合していることを明らかにした。
日本には現在、8つのカトリック大学に看護系学部が存在する。カトリック大学では、カトリック教会の信仰や教養に基づく価値観(カトリック・アイデンティティ)を重視した教育を行っている。一方、日本のような非カトリック国では、カトリック・アイデンティティをどのように維持・継承していくかが課題となっている。とりわけ看護系学部・学科の教育課程は、「保健師助産師看護師学校養成所指定規則」によって看護師国家試験の受験に必要な教育内容が定められているため、各大学はその枠組みの中で独自性のある教育を展開していくこととなる。
研究グループは、日本のカトリック大学の看護系学部・学科がどのようなカトリック・アイデンティティを体現し、発信しているのかを明らかにするため、公式ウェブサイトの分析と、看護学部長(看護学科長)および教職員へのインタビュー調査を実施した。
その結果、各大学の教育理念は、カトリック・アイデンティティを明確に表現していることがわかった。特に、「人間の尊厳の尊重」、「他者への包括的な理解」、「奉仕の精神」の3点が強調されていた。
また、各大学が大切にしている4つの価値観として、(1)「人を愛すること」、(2)「人の全体性の理解」、(3)「弱さや苦しみに向かい合う姿勢」、(4)「看護職の一員としての学生」が抽出された。これらはいずれもカトリック社会教義の原則と一致するものであり、各大学はカリキュラムの大部分を専門職養成に充てつつも、カトリック教育の中核となる価値観に基づいた教育を展開していることが示唆された。
本研究は、日本におけるカトリック大学の看護教育の特色や魅力を示した成果であり、看護師を志す学生にとって貴重な指針となることが期待される。
