東京科学大学などの研究チームは、約5万9千人の健診データを解析し、少量の飲酒(1日1~2杯以下)であっても禁酒により血圧が低下し、逆に飲酒を開始すると血圧が上昇することを明らかにした。
飲酒が血圧上昇の要因であることは広く知られているが、この知見は主に多量飲酒者を対象とした研究に基づくものである。少量~中等量の飲酒(女性で1日1杯以下、男性で1日2杯以下)や禁酒による影響は十分に解明されておらず、特にこれまでの研究では女性の飲酒と血圧の関係についてデータが著しく不足していたという。
そこで本研究では、聖路加国際病院附属クリニック予防医療センターの約5万9千人の健診データを縦断的に分析し、飲酒量の変化が血圧に与える影響を男女別に検証した。その結果、男女ともに少量の飲酒習慣であっても禁酒により用量依存的な血圧低下が確認された。逆に、これまで飲酒習慣がなかった人が新たに飲酒を開始すると、飲酒量に比例して血圧が有意に上昇することが示された。さらに、ビール、ワイン、ウイスキー、日本酒、焼酎などのアルコール種別を問わず、摂取した純アルコール量に応じて血圧が変化することも明らかになった。
本研究は、少量の飲酒であっても血圧に影響を及ぼすことを実証するとともに、男女を問わず飲酒量の変化に応じて血圧が上下する用量依存的な関係を確認した。すなわち、性別や飲酒量に関わらず、高血圧の予防・管理において禁酒が有効な手段であることを裏付けた成果である。
現行の飲酒ガイドラインの多くは、男女で推奨量が異なる上、少量の飲酒を許容している。本研究成果は、これらのガイドラインの見直しの議論に重要な示唆を与えると考えられる。
今後は、禁酒を支援する効果的な介入プログラムの開発や、長期的な心血管疾患予防効果の検証も期待される。
