東京大学大学院の工藤和俊教授らの研究グループは「連続成功」を目標とさせる新しい実験パラダイムを考案。心理的プレッシャーを反映すると考えられる生理的覚醒指標の心拍数を実験室環境で大幅に上昇させることに成功した。

 心理的プレッシャー環境下では、通常のパフォーマンスが発揮できないことがあるが、そのメカニズムは不明だった。原因として、実験室環境で生成されたプレッシャー環境と現実世界で経験するプレッシャー環境の違いが指摘されている。

 そこで研究グループは、心理的要因から大きな生理的覚醒を引き起こす実験パラダイムを考案。参加者に「10回連続成功が目標である」と伝え、指先で力発揮が要求される課題を行ってもらった。連続成功回数が大きいとき(例: 9回連続成功時)に大きなプレッシャーが生じると予想した。

 その結果、連続成功回数の増大につれ(連続成功回数が10回に近づくほど)、生理的覚醒指標の心拍数が指数関数的に増大。一方、連続成功回数が増大するほど、力発揮の正確さは単調に向上した。

 さらに、参加者に「100回合計成功が目標である」と伝えると、実際には連続成功回数が増大しても、心拍数の増大や力発揮の正確さは向上しなかった。つまり、単に「連続で課題を成功していること」ではなく、「連続成功という目標下において連続で課題を成功していること」が生理的覚醒や運動制御の正確性の変化を促していることが示唆された。

 この手法は、多数の実験協力者や金銭報酬などの特殊な環境を用意せずに、非常に大きな生理的覚醒を引き出せる。今後、プレッシャーが運動制御・学習に及ぼす影響とそのメカニズムの解明が期待されるとしている。

論文情報:【iScience】An experimental paradigm to manipulate physiological arousal using consecutive successes

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