芝浦工業大学の桑原央明准教授は、ロボットハンドによる「つかむ」と「知る」を同時に行う新しい非破壊検査技術「InSIGHT Grip(インサイトグリップ)」を開発。力覚センサーを用いない独自制御で、装置の小型化と低コスト化を実現した。
農産物の熟度判定や工業製品の劣化診断では非破壊検査の需要が高まっている。しかし、現在主流のレーザーや音響を用いた検査手法では装置が大型・高価になりがちで、また、収穫や選別といった「作業」と「検査」が異なる工程として実施されることが多く、生産現場でのコストや時間の増加につながっていた。
今回開発した技術「InSIGHT Grip」は、最小2つのモーターで駆動するコンパクトなロボットグリッパーによる構成。モーターの回転数と電流値から力を推定する、力覚センサーを用いない独自技術(特願出願中)を活用し、対象物を優しくつかむ制御と、微細な振動を与える加振制御が同時に行える。
具体的には、物体をつかみながら特定の周波数で加振し、その応答を解析して2つの共振ピークを抽出する。第1ピーク付近の周波数帯では「物体全体の運動」、第2ピーク付近の周波数帯では「表面付近の運動」を反映しており、2つの差分を算出して内部の「機械インピーダンス(硬さ)」を導き出す。
これにより、メロンのように「表面は硬いが内部は熟して柔らかい」といった、外見や表面の接触だけでは判別が困難な内部状態を、「把持(つかむ)」と「検査(知る)」を同時に行えることを実機検証により確認している。
この成果は、愛知県の「第20回わかしゃち奨励賞 応用研究部門」で優秀賞を受賞した。今後は、本技術の社会実装に向けて段階的に取り組みを進めていくとしている。
