藤田医科大学の毛利彰宏教授らの研究グループは、松波総合病院(岐阜県笠松町)、筑波大学との共同研究により、健康診断データ解析から、うつ病リスクの高い健診者は甘味摂取が増加すること、さらに、慢性ストレス負荷マウスへの砂糖投与実験で病態には性差があることを見い出した。

 うつ病は症状や原因が人によって異なり、同じ診断でも治療の効き方に差がある。一方、ストレス下では甘味摂取の増加がみられるが、うつ病リスクと甘味摂取の関連や、ストレス下での砂糖摂取がどう脳の働きと糖代謝を変化させ、うつ病態を生じさせるのかは十分に分かっていなかった。

 そこで研究グループは、松波総合病院の研究施設「まつなみリサーチパーク」での健康診断受診者2840名の食事調査データを用い、食習慣とうつ傾向の関連を検討した。その結果、抑うつ症状が強い群は食事内容に偏りがみられ、特にスクロース(砂糖)の摂取量が多かった。

 さらに、マウスによる慢性ストレス負荷下の砂糖摂取は、オスでは攻撃性が抑制されるがうつ様行動は認められ、認知機能が障害される。一方、メスではうつ様行動が治り、性差が認められた。また、オスのうつ様行動変化の機序として、身体と脳の糖代謝障害によるノルアドレナリン神経機能障害の惹起を明らかにした。

 今回の成果は、食習慣・糖代謝に基づく「うつ病のタイプ(サブタイプ)」の存在を示唆する。砂糖の摂取が多い、糖尿病を併発するうつ病患者の病態に、ノルアドレナリンの放出を抑制するα2アドレナリン受容体の関与が想定され、同受容体を標的とした治療が有効となる可能性があり、患者の状態に合わせた層別化治療につながることが期待されるとしている。

論文情報:【British Journal of Pharmacology】Targeting the noradrenergic-metabolic axis: A new strategy for sugar-induced depression subtypes

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