北海道大学大学院の高橋勇樹准教授らの研究グループは、ニジマスの成長をコンピュータ上で再現する養殖シミュレーションモデルを開発。実際の飼育試験データと比較し、良好な結果を得た。

 日本の養殖生産は、海面養殖が多いが拡大余地は少ないとされ、陸上養殖が注目されている。しかし、陸上養殖は電気・餌料・施設建造などのコストが高く収益性が低い。従来は実際の飼育試験により最適条件を検討したが、条件変更ごとに実験が必要で時間・コストが大きかった。

 そこで研究グループは、魚のエネルギー収支に基づく成長モデルと、魚の遊泳行動を再現する行動モデルを用いて、魚が遊泳して摂餌量に応じて成長するという、飼育全体をコンピュータ上で再現できるモデルを構築。併せて、シミュレーションによる成長を飼育実験と比較した。

 その結果、シミュレーションは魚の摂餌行動・遊泳行動をリアルに再現できることを確認。成長推移の数値比較では、飼育の初期〜中期段階(約80日間)で誤差率は概ね4〜10%程度で、体重・尾叉長ともに実験値と良好に一致した。また、飼料効率(FCR:餌対成長量)の再現と、実測値とを比較。初期80日間のFCRは実験で1.19、シミュレーションで1.18となり飼料効率の再現性も良好だった。

 最後に、コスト要因の給餌量について給餌を0.7倍、1.0倍、1.3倍に設定してシミュレーションした。給餌量を増やすと成長速度は増加するが、FCRは成長段階によって変動し、最適な給餌量が成長段階によって変化することが示された。

 今回の研究成果は、養殖条件のコンピュータでの事前検証を可能にし、効率的で安定した養殖管理の基盤技術となることが期待されるとしている。

論文情報:【Scientific Reports】An aquaculture simulator for rainbow trout (Oncorhynchus mykiss) based on a fish schooling behavioral model and a dynamic energy budget

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