麻布大学とFUJIOH(富士工業株式会社)は、清水建設株式会社との共同研究により、空気中の化学物質対策が必要な施設向けにVOC(揮発性有機化合物)低減型空気清浄機を開発し、室内のVOCの低減効果を確認した。
VOCは建材や家具、日用品などから揮発し、室内空気を汚染する要因の一つである。特に医療施設では、薬剤や建材由来の化学物質による空気汚染が問題となる場合があるが、家庭用空気清浄機では十分な低減水準に達しないケースも指摘されている。
そこで本研究では、獣医療の専門家である麻布大学、空気環境改善を手掛けるFUJIOH、室内環境の評価技術を有する清水建設の3者が協力し、化学物質を取り除くケミカルフィルターを搭載したVOC低減型空気清浄機を開発した。
この装置を動物病院に設置して総VOC濃度を測定したところ、設置環境では100μg/m³未満に維持され、換気性に優れた大学附属動物病院と同程度の水準となった。一方、未設置環境では100μg/m³を超えており、VOC低減型空気清浄機により室内のVOCが低減されることが確認された。
さらに、同装置を用いた空気環境下で飼育したマウスでは、通常環境と比べて喘息およびアトピー性皮膚炎の症状が軽減されることも基礎研究で示されている。VOC低減型空気清浄機による室内化学物質の制御が、気道や皮膚の疾患の抑制に貢献する可能性も示唆している。
本研究成果の論文は、学術誌として最高位の影響力評価を獲得しているアメリカ毒性学会の『Toxicological Sciences』に掲載された。これは、今回のVOC低減型空気清浄機開発の研究が世界水準の評価を得たことを示しており、今後は医療施設をはじめ、美術品保護のためにVOC対策が必要な美術館・博物館、アウトガス対策が求められる工場など、幅広い分野での活用が期待される。
論文情報:【Toxicological Sciences】Removal of volatile organic compounds by chemical filters significantly inhibited the development of atopic dermatitis symptoms in mice: potential implications for air-conditioning systems in healthcare environments
参考:【麻布大学】室内化学物質を低減する空気清浄機開発の研究が国際的評価を獲得
