麻布大学の獣医学部介在動物学研究室を中心とした研究グループ※は、イヌが飼い主の明瞭な感情表出だけでなく、ストレス状態に伴う生理的変化や主観的な気分など、より微妙な情報の組み合わせにも反応する可能性を明らかにした。
イヌは、ヒトの表情や声、身振りなどからさまざまな社会的情報を読み取り、ヒトの感情状態に応じて行動を変化させる。研究グループは今回、ヒトが感情を明瞭に表出していない状況でも、イヌが飼い主から発せられる微妙な情報を利用しているのかを検討した。
研究では、飼い主にストレス状態またはリラックス状態を経験してもらい、その後、一定の文章を読む課題中の顔の映像、声、においを記録・採取。これらを組み合わせた飼い主由来の複数の刺激をイヌに提示し、行動反応と心拍変動を測定した。
その結果、飼い主がストレス状態にあった場合、イヌは、飼い主が生理的にも主観的にもストレスを感じている場合よりも、生理的にはストレス状態にあるものの主観的にはストレスを感じていない場合に強く注意を向けた。これは、イヌが飼い主の状態と、そこから発せられる複数の情報を組み合わせ、それに応じて反応を変化させている可能性を示している。
また、イヌ自身の心拍変動には、条件や刺激による明確な変化は認めなかったが、飼い主とイヌの心拍変動の関係を調べると、飼い主とイヌの生理的な同期が生じる可能性が示唆された。
今回の研究は、ヒトとイヌの相互理解を深めるだけでなく、イヌのストレスや情動状態をより正確に理解し、ヒトとイヌ双方のウェルビーイングや動物福祉の向上につながることが期待されるとしている。
※他に、東北大学、奈良先端科学技術大学院大学、沖縄科学技術大学院大学、北海道大学、クアドリティクス株式会社



