コロナ禍においても留学機会を学生に
新しい留学プログラムを海外大学と共同開発

「コロナが終息した後の世界は、さまざまなシーンでオンラインを使った異文化/異言語コミュニケーションが当たり前となっていくでしょう。留学においても、異文化交流に少しでも関心があるのであれば、コロナ禍で渡航できないことや制限されることにとらわれ過ぎず、今だからできることに目を向け、オンライン留学を、自分が社会に出たときに役立つ新しいスキルセットが身につけられる貴重な機会だととらえてもらいたいです」と立命館大学国際部副部長の羽谷沙織准教授は話す。


2020年、瞬く間に世界中がコロナ禍へと突入し、行動や移動が制限された。しかし、そのような中においても、同大学の対応は迅速だった。すぐに留学中のすべての学生を安全に帰国させ、その後は教職員が一丸となって帰国者たちの心のケアに奔走した。

同時に、2020年4月には「海外留学派遣再活性化検討ワーキング・グループ」を立ち上げ、コロナ禍によって、留学という学生たちの貴重な学びの機会を奪われないために、オルタナティブな留学モデルの準備に取り掛かった。

注目すべきは、オンライン留学プログラムの開発と実施だ。アメリカのカリフォルニア大学デービス校(UCD)とカナダのブリティッシュコロンビア大学(UBC)との間で、それぞれオンラインによる留学カリキュラムを共同開発した。
ZoomなどのWeb会議システムを利用し、日本にいながらパートナー校と共同開発した科目が履修できる。

UCDとのプログラムでは、立命館大学とUCDの学生がリアルタイムでつながり、互いの国の実情を理解し合いながら、「SDGs」をテーマに、環境・エネルギー・ジェンダーなどを約1か月間にわたって学ぶ。2020年、75名の学部生が参加し、修了後は約半数の学生が、協定校に『交換留学生』として留学できるレベルにまで英語力が向上した。また、オンラインだからこそ学びへの集中が高まり、SDGsなど内容への理解はリアル留学と遜色ない高い満足を得ている。

UBCとは、1セメスターという長期にわたり、よりよいGlobal Citizen(国際社会の一員)になるための知識や考え方、振る舞いについて学ぶという、コロナ以前から長く続いているプログラムのオンライン版を共同開発した。

その他にも、留学プログラムについては、2022年春の渡航を伴うリアルな留学の再開に向け、世界各国の約160のパートナー校と協議・連携を進めている。
また、コロナ禍で留学準備などのモチベーション維持が難しい学生には、留学経験のある先輩学生が相談にのったり、専属教員によるカウンセリングを行うなどのサポートも手厚い。

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立命館大学

大学ジャーナルオンライン編集部

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