群馬大学と株式会社NTTドコモ、神戸自動走行研究会※、株式会社日本総合研究所は、2017年11月から12月までの約2か月間、神戸市北区筑紫が丘において「ラストマイル自動運転移動サービス」の実証実験を実施する。「ラストマイル自動運転移動サービス」とは、自宅からの近距離圏内(最寄り駅・バス停、商店、病院など)の移動のための、自動走行技術などのIoTを活用した新たな移動サービスのこと。
実証実験では、有人で低速走行の自動運転車両による自宅から最寄りバス停、商店、病院などまでの移動サービスを、地域住民が一定期間体験。用途や利用者数の確認のほか、適切な投資コストの把握、自動運転の関連技術の検証などを行う。
今回実証実験を行う神戸市北区筑紫が丘は、人口減少や少子・高齢化、施設の老朽化が進み、公共交通の縮小・撤退が課題となっているニュータウンの一つ。丘陵地を切り開いて作られた同地区には約2,000世帯、約6,000人が生活しているが、人口の40%が65歳以上であり、5年後には50%に上る見込み。普通免許を返納するなどでマイカーを手放す住民も増える一方、同地区には坂道が多いことから移動手段の確保を望む声が高まっている。
これまで、筑紫が丘自治会が住民の移動課題の解決方法を検討し、神戸自動走行研究会代表であるみなと観光バスとの協議を進めてきた。その中で、住民の自助・共助による、自動運転を活用した近距離圏内移動サービスという日本総研のコンセプトと、公共交通利用者の利便性の向上や交通事業者の高効率な経営の一助となるNTTドコモの「AI運行バス」技術などを連携させるとともに、完全自動運転技術を用いた新たな移動交通システムの研究を進める群馬大学も参加し、実証実験を行うことになった。
また、神戸市も、本実証実験をドコモとのICT事業連携協定実証の活動の一環と位置づけ、市内の地域が抱える交通課題に関する情報の提供や、本実証実験で得られたデータの有効活用方法の検討を行う。
※神戸自動走行研究会とは、運転手不足と高齢化問題の解決策として自動走行の導入を研究する、神戸市の交通事業者による任意団体。発起人はみなと観光バス(株)で、2017年11月7日時点でのメンバーは、近畿タクシー(株)、六甲産業(株)、有馬自働車(株)。