株式会社東芝は、血液中のマイクロRNAを使った簡便で高精度ながん検出技術を開発した。独自の電気化学的なマイクロRNA検出技術を活用することで、すい臓がん、乳がんなど13種類のがんの患者と健常者を2時間以内に99%の精度で網羅的に識別できることを研究開発レベルで確認した。今後、早期の社会実装に向けて、2020年から実証試験を行う予定。
国立がん研究センターがん情報サービスによると、2018年のがんによる死亡者数は約37万人、生涯でがんに罹患する確率は男性62%、女性47%に上る。しかし早期発見すれば、治療法の進歩により生存率は著しく向上する。
そこで簡便かつ高精度にがんを検出する手段として注目されているのが、血液中に約2,500種類あるマイクロRNAだ。体の中で遺伝子やタンパク質を制御している20塩基程度の短い核酸分子で、血液中にも安定に存在していることが知られている。最近、血液中のマイクロRNAの種類と量を調べると、肺がんや乳がんなどの様々ながんを早期に見つけられる可能性のあることが分かり、新しい診断マーカーとして期待されている。
株式会社東芝は東京医科大学と国立がん研究センターの共同研究により、マイクロRNAを用いたがん検出技術の開発に取り組んできた。東京医科大学と国立がん研究センターが持つマイクロRNAに関する高度な医学的知見と、東芝が開発したマイクロRNA検出技術を融合することで、13種類のがんの患者と健常者を99%の精度で網羅的に識別することに成功した。この中にはステージ0の検体も含まれている。
今回の成果は、13種類のいずれかのがん罹患を簡便・高精度に検出するスクリーニング検査に適応可能と考えられている。また、独自のマイクロRNAチップと専用の小型検査装置を用いることで、検査時間を2時間以内に短縮し、即日検査への適応が可能となる。
技術の詳細は、12月3~8日に福岡で開催される「第42回日本分子生物学会年会」にて発表する。
参考:【株式会社東芝】血液1滴から13種類のがんを99%の精度で検出する技術を開発-独自のマイクロRNA検出技術を使った健康診断などの血液検査により、生存率の高いステージ0からがん罹患の有無を識別-