1990年代から2000年代にかけて、「西大和の奇跡」と言われ関西の受験界で存在感を高めた西大和学園中学校・高等学校。

 近年はまた、東大合格者数の急伸で全国から注目を集める。その設置母体である学校法人西大和学園が2014年大阪府吹田市に創設したのが大和大学。

 「大志を、まとえ」の教育理念の下、当初から掲げてきたのが「東の早慶、西の大和をめざす」のスローガンだ。開学12年目を迎えた今年4月、その実現に専念するため新たな総長職に就き陣頭指揮を執る学園の創設者でもある田野瀬良太郎さんに、新たな決意とこれからの展望をお聞きした。

 


公言し自ら退路を断つことで、その実現を目指し続ける

 「東の早慶、西の大和をめざす」ことを、対外的にPRするようになったのは2022年からだが、構想自体は開学以前から温めてきたもので、原点は、西大和学園高校の進路指導の経験にある。

 関西に在住する難関国公立大学を第一志望とする生徒にとっては、私学の併願校の選択肢が少なく、関東圏の難関私学、すなわち早慶を併願することが多い。早慶に進学し卒業後、首都圏でそのまま就職するケースも増える。これは関西からの優秀な人材流出を早め東京一極集中と関西圏の地盤沈下をますます進めてしまうことになる。もちろんその保護者には、大きな経済的負担を強いることでもある。

 こうした状況に一石を投じたいと考えてきたのが、関西にも早慶に匹敵する私立大学を作ること、つまりこれが「東の早慶、西の大和」構想の原点だ。完成すれば進路指導の幅が広がり、首都圏への人材流出の歯止めになり、保護者の経済的負担の軽減につながることは間違いない。

 このような構想を標語に掲げると、大言壮語のそしりを受けるかもしれないが、高い目標をあえて公言し、退路を断って目標達成に邁進すれば、 <有言実行、志あるところには必ず道ができる>の言葉ではないが、必ず道は開ける。これは西大和学園の今日までの発展の原動力でもある。

 2014年、教育学部・保健医療学部の2学部からスタートした本学は、2016年には西日本で唯一の政治経済学部を開設。2020年に理工学部、2021年に社会学部、そして2023年には情報学部と、矢継ぎ早に6学部を揃え、収容定員は6000名へと、総合大学としての体制を整えつつある。総合大学の定義はともかく、当初からそれにこだわったのは、文系・理系、多様なタイプの学生を集め、学部を超えた交流を積極的に促すことができるのが大学本来の姿だと考えたからだ。

 体制が整備されてきたのを見計らって、昨年2024年には、その中身の充実を図るべく、「学生・保護者の満足度を最大限に高める」「各学部の進路(就職、大学院進学等)の数値目標を明確にし、達成する」「常に動く、時代に変化する」の3項目からなる重点施策を定めた。以下、順に解説したい。
  

学生・保護者の満足度を最大限に高める

 これまでの、西大和学園中・高、ロサンゼルスの西大和学園カルフォルニア校幼・小・中、そして大和大学白鳳短期大学部の経営を通じて実感していることは、「学生、保護者の満足度が高ければ高いほど、学校は発展する」ということだ。

 そこで昨年3月、学生全員を対象にした満足度調査を始めた。大学に対する注文・要望・要請、不平不満を全て書いてもらうのだ。回収したアンケートは、徹底的に検証する。各部署・各教員にフィードバックし、改善策が必要と判断すれば具体的な改善策を文書で提出してもらう。そして学生に対してこのように改善していくんだという具体的な改善内容を発表する。

 またこれとは別に、授業内容に関わるものは最重要と位置づけ、新学期に授業が数回実施された後に1度と、学期末、つまり半期に2度、前・後期あわせて年4回授業アンケートを実施することとした。そして検証結果や改善点を学生に開示するとともにシラバスにも反映させる。

 いずれのアンケートでも2年目の現在、学生の不平・不満は大幅に減少しているが、それを限りなくゼロに近づけるよう今後も努力していきたい。

各学部の進路(就職、大学院進学等)の数値目標を明確にし、達成する

 多くの保護者が大学に期待するのは卒業後の進路保証と言っても過言ではないが、設立して日の浅い大学ではそれに対して保護者の不安も大きい。そこでそれを払拭するために、学部ごとに目標を立てしかもそれを数値で示し、さらに、ここでもそれを世間に公言することとした。

 例えば理工学部が掲げているのが、「難関国公立大学の大学院に6割進学」という目標。他大学の大学院への進学実績を目標にするというのはとても珍しいと思うが、これは保護者・学生に人気の企業やブランド企業では国公立の大学院、主に修士課程卒の採用が圧倒的に多いという実情があることによる。学生の将来を考えれば私学でしかも開設間もない本学が、大学院を作ってもあまり意味がない。早慶レベルになってから大学院をつくるべきだと判断した。《6割》というのは概ね早慶の大学院進学率を意識した目標値だ。これまでのところ1期生、2期生の実績は平均で25%、6割にはまだ程遠いが、手応えを十分感じている。

 大学院へ進学しない学生については、東証プライム上場企業、有名企業400社、従業員5000人以上の大企業のいずれかへ6割を就職に導くという目標を掲げた。これも早慶の有名企業、大企業への就職実績を意識した目標値となっている。2024年の実績は、前年の36%程度を大きく上回る59.1%となった。

 この他、これと同じ指標を目標に定めた政治経済学部では44.1%、社会学部で41. 0%となっている。

 教育学部は教員採用試験、現役合格率100%を目指すが、すでに90.8%を達成。本学の調べではおそらくは日本一ではないかと自負している。「大和プラン」なるものを建て、地元吹田市などと連携し、一年次から、ことあるごとに吹田市内の教育現場へ出て実践を積むようにしていることなどが功を奏している。保健医療学部は看護、総合リハビリテーションの2学科とも国家試験合格100%の目標をクリアしている。

 短期間でこのような実績を上げるための仕組みの一つがクラス担任制のキャリア指導体制だ。大学の多くではキャリアセンターという職員中心の組織が対応するのに対して、本学では、教員であるクラス担任※が初年次から学生全員の状況を個々に把握し、きめ細かく対応する。西大和学園高等学校の進路指導の良い点を取り入れたもので、担任には学生と密な人間関係や信頼関係を築くことに長けた高校などでの教育活動経験者が多く当たる※※。3年次以降は、ここにキャリアセンター職員も加わるから、学生一人ひとりの希望や適性だけでなく、内定状況やエントリー状況もリアルタイムで把握できる。

 このようなやりかたに対して、大学としてはやりすぎではないかとのお声もいただくが、昨今の保護者のニーズに応えようとすれば、お預かりしたご子弟・子女をきちんと社会人に育て、納得いく就職ができるよう全力で支援するのが大学の務めになる。社会人になればあとは社会が鍛えてくれる。しかしそこまでは、しっかりと責任を持って、見届けたいと考えている。

企業とのマッチングは2年次から。年間700~800社との出会いが就活を後押し

 もう一つの仕組みが、学内での企業説明会の開催だ。舞台となるのが新設のアリーナ。年10回実施され、一回の参加企業は70、80社。それぞれがブースを設け、企業紹介や模擬面接会などを行う。2年次から参加でき、年間で延べ700、800の企業と出会える。3年次以降の本格的な就活をスムースにスタートさせるにも欠かせないものと考えている。

  1. 1
  2. 2
大和大学

「大志を、まとえ」新しい価値の創造をめざし、輝かしい未来を拓く

「国づくりは、人づくりから」を建学の精神の柱に据え、科学的洞察力、国際性、利他の精神といった、世界を舞台に活躍するリーダーとして不可欠な資質を育む、独自の教育を実践。高い専門性と幅広い視野を授けるとともに、学術文化の向上と国際社会の平和と発展に貢献する有能な人[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。