慶應義塾大学、大阪母子医療センター、東京都立小児総合医療センター、大阪市立大学、国立成育医療研究センターなどの研究チームは、原因が不明のまま集中治療室に入る新生児の病気の約半数をゲノム解析で解明することに成功した。

 慶應義塾大学によると、日本の新生児医療は世界最高水準といわれるが、新生児集中治療室に入る重症の新生児の1割程度が原因不明とされる。そこで慶應義塾大学など全国17の高度周産期医療センターがネットワークを形成し、従来の方法で原因を究明できなかった重症の新生児85人に対し、ゲノム解析を試みた。

 その結果、85人のうち約半数に当たる41人に生まれつきの遺伝的疾患があることを見つけた。いずれも約30億個あるDNAのうち、1つ、2つが別のものに置き換わっていた。41人のうち、20人は検査や治療方針が変更され、ゲノム解析が医療技術として有用であることが確認できた。

 生まれたときから腸が詰まって栄養を十分に取れない新生児は、細胞の内外に電解質を出し入れする機能が弱く、腸が粘り気を持つ分泌液で詰まりやすくなる遺伝的疾患であることが判明した。消化を助ける薬の投与で体重が増え始めた。

論文情報:【The Journal of Pediatrics】Genome analysis in sick neonates and infants: high yield phenotypes and contribution of small copy number variations

慶應義塾大学

大学ジャーナルオンライン編集部

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