皮膚に貼るだけで新型コロナウイルスのワクチンを接種できるマイクロニードルワクチンパッチが、東京大学生産技術研究所、大学院工学系研究科、東京都医学総合研究所の共同研究で開発された。美容皮膚科などで使用する極細、極小のマイクロニードルに抗原の遺伝子を組み替えたウイルスを搭載する仕組みで、動物実験で注射より抗体応答が高かった。

 東京大学によると、マイクロニードルは長さ数百ミクロンで、痛みを伴わない薬物投与方法として注目される。しかしワクチンを組み込む際、ニードル先端部への搭載量制御が難しい、長い乾燥工程でウイルス量が低下する、ワクチンがマイクロニードルの基盤に拡散してロスが生じるなどの課題があった。

 そこで、研究チームは基盤に柱構造を組み込んだ柱状ガイド付きパッチを考案するとともに、新型コロナウイルス感染症の抗原遺伝子を組み替えたワクチンをマイクロニードル化して欠点を克服した。その結果、マイクロニードルの先端部だけにワクチン溶液を充填できるようになった。先端充填効率は従来方法の8.3倍、従来のマイクロニードル作製法で40.4%まで低下していたウイルス量を50.4%にとどめることに成功した。マウスに投与したところ、従来方法での接種に比べて抗体応答が1.2倍高い結果が出ており、開発したマイクロニードルワクチンパッチによる接種は高い免疫効果があることが確認できた。

 研究チームは新型コロナウイルス感染症のパンデミックを契機に、ヒトにより安全かつ安定した免疫効果をもたらすパッチ型ワクチンの開発に取り組んできた。本技術を確立し常温流通にも対応可能なワクチン接種技術を実現することで、医療従事者やインフラが整っていない環境でのワクチン接種に貢献する。

論文情報:【Scientific reports】Precision dosing of recombinant vaccinia vaccine via pillar-guided microneedle patch confers SARS-CoV-2 immunity

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