北海道大学大学院水産科学研究院の藤本貴史教授と函館国際水産・海洋都市推進機構、函館市農林水産部の研究グループが、国内初となるキングサーモンの完全養殖に成功した。「函館マリカルチャープロジェクト」(地方大学・地域産業創生交付金事業)のキングサーモン完全養殖技術研究によるもので、研究成果は函館市議会経済建設委員会で報告された。
研究グループは、函館市沿岸に設置された定置網で2022年に採捕されたキングサーモンの卵と精子の人工授精で誕生した魚を親に選び、2025年7、8月に親魚のメス16匹から採取した約2万6,000粒の卵とオスの親魚36匹から採取した精子を人工授精し、約9,000匹の稚魚を誕生させた。
函館市は誕生した稚魚の一部を次世代の親魚候補として育成するほか、キングサーモン用の飼料や給餌法開発、開発された資料で育った魚の品質分析の材料などに活用することにしている。
キングサーモンは米アラスカ州やロシアのカムチャッカ半島、北海道沿岸に生息するサケの仲間で、川でふ化して海で成長したあと、故郷の川で産卵する。サケの仲間では最も大きくなる部類に入り、近年では高級寿司ネタとして有名な高級魚となっているが、国内では定置網漁業でごく稀に漁獲される程度。本プロジェクトではキングサーモンの完全養殖事業に向けて、函館沿岸で採捕される天然のキングサーモンを初代の親に用いて子孫を人工飼育下で繁殖させ、養殖に必要な魚を確保することを目指していた。
今回の完全養殖成功で安定したキングサーモン生産の土台が整った。函館市は有用な特徴を持つ個体を親魚とし、市の特産となる養殖キングサーモンの誕生を期待している。
