名古屋工業大学と金沢医科大学の共同研究グループは、全国約246万人の保険加入者データを用いた解析から、熱中症の既往がある人は白内障全体の発症リスクが1.96 倍高いことを明らかにした。
白内障の一つである核白内障は、加齢に加えて熱ストレスとの関連が指摘されてきた。近年、平均気温の上昇に伴い、熱中症患者数は増加している。しかし、熱中症と白内障との関連を全国規模で検証した研究は十分に行われていなかった。
そこで研究グループは、医療レセプトデータを用いて、熱中症の既往が白内障、特に核白内障の発症リスクとどのように関連するかを検証した。解析には、医療レセプトデータベース「REZULT」を用いた。観察期間は2010年4月1日から2023年12月31日までとし、熱中症の既往の有無と、その後の白内障発症を追跡した。
分析(Cox回帰分析)の結果、熱中症の既往がある人は、ない人に比べて、その後の白内障発症リスクが1.96倍高いことが示された。白内障の一種である核白内障に限っても、発症リスクは2.16倍と高いことが確認された。
年代別および糖尿病の有無別の解析では、30代で2.99倍、糖尿病のない人で2.44倍と、従来あまり高リスクと見なされてこなかった層で関連がより強くみられた。なお、核白内障に限った解析でも、非糖尿病者では3.00倍と高い関連が認められた。
研究グループは、今回の研究成果は統計的な関連を示したもので因果関係を直接示すものではないが、熱中症対策が急性健康被害の予防に加え、将来的な目の健康維持にも寄与する可能性があるとしている。
