東北大学松田安昌教授(経済学研究科)および佐藤宇樹助教(ヨッタインフォマティクス研究センター)の研究グループと株式会社Propre Japanは、不動産賃貸市場における時空間モデル適用の共同研究を開始した。松田・佐藤研究室が保有する時空間モデルに関する知見と、Propreの保有するビッグデータを活用し、賃貸不動産における募集期間や賃料単価の決定要素を分析。不動産評価に関する唯一無二のアルゴリズムを創造する。

 不動産賃貸市場は、時勢に大きく影響を受け、例えば入学・転勤等で需要の高まる2~3月の募集と、需要が落ち着いた4月以降とでは、価格の「適切さ」は変化すると考えられる。また、地理的な環境からの影響も大きく、例えば周辺で類似の賃貸募集が大量に行われた場合、同じ賃料では成約までの期間が長期にわたるリスクが増大する可能性がある。一般的な統計・機械学習モデルにおいては、各データが時間的・空間的に独立であることを仮定するが、不動産のデータにおいてこの仮定は成り立たない。

 そこで、不動産データ分析においては、時間と空間に依存する相関を、明示的に取り入れることのできる時空間モデルの導入、および実証研究が求められている。これを実現することで、ある地点の不動産の時系列分析において、周辺環境の変化を加味した分析が可能になる。つまり、より精度の高い賃料査定、不動産評価などのサービスの展開につなげることができる。

 今回の共同研究を通じて、Propreは、将来的に研究成果を論文で発表することも視野に入れながら、様々なステークホルダーにとってより適切な査定アルゴリズムを研究開発し、今後の新たなサービスの開発に役立てていく予定。 また、不動産データベースを使って様々な形で人の役に立つサービスを開発していくとともに、研究活動についても継続的に行っていく。

 東北大学の松田教授は、長年時空間モデルに関する研究を重ねて多くの論文を発表しており、2019年度には、時空間モデルの応用解析に関する研究で日本統計学会の第13回研究業績賞を獲得。また現在は、東北大学が産学共同研究等を推進するために設置したサービス・データ科学研究センターのセンター長を務めている。

 Propreは、世界17ヵ国から1日あたり1,700万件を超える不動産情報を収集、整理しており、その取扱い数では世界最大級の規模。各国から収集したデータを独自の切り口で集計・分析し、「買う人も、売る人も、借りる人も、貸す人も」誰もが気軽に「世界の不動産データにリーチできる」プラットフォームの開発を進めている。

参考:【PR TIMES】Propreは、東北大学松田・佐藤研究室と時空間モデルを用いた不動産査定の共同研究を開始しました。

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