慶應義塾大学の滝沢翼専任講師らの研究グループは、片頭痛患者に対するカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)関連抗体薬について、国内における長期的な有効性と安全性、患者満足度を明らかにした。

 片頭痛は日本でも有病率8.4%と頻度の高い疾患であり、日常生活に支障をきたすことが多い頭痛とされている。片頭痛の発作を抑える予防薬として、2021年からCGRP関連抗体薬が使用可能となった。CGRPは頭部の感覚を司る三叉神経系に多く発現し、血管平滑筋などに発現しているCGRP受容体に作用して血管拡張や炎症反応を引き起こす原因物質である。CGRP関連抗体薬は、月に1回、製剤によっては3カ月に1回の皮下注射でCGRPまたはその受容体に作用し、片頭痛の発作を抑制する効果が期待される。

 本研究では、2021年8月から2023年2月までに慶應義塾大学病院でCGRP関連抗体薬による治療を開始した片頭痛患者150人の診療データを解析し、投与を継続していた患者における有効性、安全性、患者満足度を検討した。その結果、月間片頭痛日数は治療開始後から減少傾向となり、6カ月後には54%、1年後には52%の患者で、投与前の半分以下の日数まで減少した。また、閃輝暗点などの前兆症状や、光や音への過敏症状、吐き気や嘔吐といった随伴症状の改善も認められた。

 副作用については、注射部位反応が6カ月後で25%、1年後では11%でみられた。一方、患者満足度を集計したところ、6カ月後で92%、1年後で94%の患者が治療に満足していたことがわかった。

 今後も片頭痛領域ではCGRP受容体を標的とした経口薬、CGRP関連抗体薬の点滴静注製剤、ニューロモデュレーション(電気刺激などを用いて神経の働きを調整する最先端の治療法)といった新たな治療法の登場が見込まれている。こうした多様な新規治療法の導入により、これまで十分な効果が得られなかった患者にも片頭痛治療の選択肢がさらに広がることが期待される。

論文情報:【Journal of the Neurological Sciences】A 12-month observational study on the safety, efficacy on migraine associated symptoms and satisfaction of CGRP monoclonal antibodies in Japanese patients with migraine

慶應義塾大学

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