学校法人麻布獣医学園と旭化成ホームズ株式会社は、2026年3月16日、麻布大学内に設置した寄附講座「ペットと人の共生社会 for LONGLIFE」で取り組んでいる研究に関する中間報告会を開催した。今回の報告会では、3つの研究テーマの発表と「都市のペット共生」をテーマとしたパネルディスカッションを行った。

 寄附講座「ペットと人の共生社会 for LONGLIFE」は、都市部における人と動物(ペット)の共生を軸としたすまいづくり、環境づくり、コミュニティづくりを通して地域・社会貢献と社会のウェルビーイングを目指すことを目的として2025年4月1日から2028年3月31日まで設置している。

 ペットと人が安心して暮らせる社会の形成に向け、研究テーマを「1. 住環境の整備:微生物を介したペットと人の共生」「2. コミュニティの形成:地域社会におけるイヌの介在と社会関係性の創出」「3.社会的ネットワークの構築:ペットと人の相互ケア体制の構築」に設定し、中間報告会では、1及び2について発表を行った。

 研究テーマ1「住環境の整備:微生物を介したペットと人の共生」では、ヒトとイヌが共有する微生物(マイクロバイオーム)が心身の健康に与える影響を研究。飼育の有無で住環境の微生物構造が異なること、イヌとの接触が 子どもの心理的Well-beingに良い影響をもたらす可能性が確認された。今後は都市部での実証を進め、健康的な住環境設計への応用を目指す。

 研究テーマ2「コミュニティの形成:地域社会におけるイヌの介在と社会関係性の創出」では、イヌが都市において人と人をつなぐ媒介者として機能することに着目。調査では賛否の対立ではなく、多くが「無関心層」であることが明らかになり、摩擦の背景には “すれ違い”や情報不足 があると判明した。イヌを介したあいさつや会話が、地域の安心感や防災意識など社会関係資本の形成にもつながる可能性が示された。

 また、「飼育者・非飼育者」が同席する混成グループインタビューの結果、非飼育者には「特に気にならない」という層が多いことが明らかになり、飼育者と非飼育者が社会で安心して共存するためには、飼育側の配慮を「見える化」することが重要であることがわかった。

 具体的には、排泄物の処理袋や水を携帯する、リードを適切な長さで持っているなどを見えるようにして散歩すると、非飼育者にとっても安心感をもたらす要素になる。触っても良いか、人見知りなのかなど犬の個体差を示すサインがあれば、関心のある非飼育者にとって行動判断がしやすくなるとの声も多く聞かれた。社会実装に向けたアイディアとして「時間と状況を見せる」「個体差サインを使う」など、互いの状況が見える仕組みが、共生につながると議論した。

 今後は、共同研究データのさらなる蓄積と都市部での実証を進めつつ、犬を介したコミュニティ形成の可能性、住まい(屋内外)のデザイン、防災や福祉との連携など、暮らし全体を捉えた”共生のかたち”を探求していく。旭化成ホームズと麻布大学は、暮らしに寄り添った研究と実践を重ね、人・動物・地域が支え合う都市モデルの構築を目指していく。

参考:【麻布大学】寄附講座研究テーマ中間報告会を開催~社会的ネットワークの構築など3つの視点で探求~

麻布大学

動物、食、環境、健康といった私たちの暮らしに密接な学びで、スペシャリストをめざす!

麻布大学のルーツは、明治23年(1890年)、與倉東隆によって東京の麻布(現 港区南麻布)に開設された「東京獣医講習所」にさかのぼります。1950年に麻布獣医科大学として開学、1980年に麻布大学に改称。麻布大学では建学の精神「学理の討究と誠実なる実践」のもと[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。