岩手大学の研究グループは、餌の「匂い」の変化によってネコの摂食量が変化することを明らかにした。

 ネコは、1日に何度も少量ずつ餌を食べる「少量頻回摂食」という特有の摂食様式を示すことが知られている。空腹状態でも餌を食べ残すことがあるため、食事をやめる理由は単純な「満腹」だけでは説明できないと考えられてきた。

 本研究では、ヒトで知られる「同じ食べ物の匂いに繰り返しさらされるとその魅力が低下する現象(感覚特異的飽和)」に着目し、ネコの摂食行動における匂いの影響を検証した。

 まず、ネコに同じ餌を与え続けると摂食量が徐々に低下する一方、異なる餌を与えると摂食量が回復することを確認した。次に、餌そのものは変えず匂いのみを変化させて与えたところ、同様に摂食量の回復がみられることを発見した。

 さらに、食事の合間にも同じ餌の匂いを嗅がせ続けると、匂いを提示しない場合よりも摂食量が低下したが、別の餌の匂いに変えると高い摂食量が維持されることもわかった。
これらの結果から、ネコの摂食行動は匂いの影響を強く受けており、同一の匂いへの慣れ(嗅覚順応)と新たな匂い刺激による食欲の回復(脱順応)の繰り返しによって、ネコの少量ずつ何度も食べる行動が調節されている可能性が示唆された。

 本研究は、「匂い」という観点からネコの摂食行動の理解を深めるものであり、食欲低下を示すネコへの新たな給餌戦略や、高齢・病気のネコの栄養管理、ペットフード開発における嗅覚設計など、ネコの生活の質(QOL)の向上につながる応用が期待される。

論文情報:【Physiology & Behavior】Olfactory habituation and dishabituation dynamically regulate feeding motivation in domestic cats

岩手大学

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