大学で外国語を身につけ、将来はグローバルに活躍したい。そんな大学生の背中を押す取り組みが、獨協大学国際教養学部の「海外実践プログラム」だ。単位認定される海外インターンシップのほか、海外の学生と議論を交わす機会も用意されている。海外実践プログラムの特長をはじめ、国際教養学部ならではの学びについて、学部長の二宮哲教授に伺った。

 

海外と国内。ふたつのフィールドで語学を実践

 「海外実践プログラム」は2025年4月より始まった新たな取り組みだ。獨協大学国際教養学部言語文化学科の2年生以上を対象にした選択科目として位置づけられている。

 学び方は2種類。ひとつは約3ヶ月間の海外インターンシップで、現地の企業や団体などに赴いて仕事をする。派遣先はオーストラリアやスペインなどを予定。2025年度は3名の学生がオーストラリアでのインターンシップに参加した。

 もうひとつの学び方は、比較文化演習(COIL)。インターネットを使い、海外大学の学生とリアルタイムのディスカッションを行う。主な使用言語は英語だ。授業は獨協大学のキャンパス内で実施されるため、国内にいながらにして、外国語のコミュニケーション能力やグローバルな視野を養える。

 海外実践プログラム設立の背景を、二宮教授は次のように語った。

「本学部には短期ないし長期の留学を希望する学生が大勢います。だからこそ、単に語学を勉強するのではなく、大学で身につけた言語を活用できる場、たとえば仕事や社会活動の機会を創出できないかと考えました」

 特長のひとつは、海外インターンシップも単位として認定されること。たとえば1学期分を海外で過ごしたとしても、成果に応じて獨協大学での授業単位を取得できる。

「海外インターンシップに参加しても、卒業が遅れる、帰国後の授業の取り方がタイトになる、という事態を避けられます。これにより在学中に海外へ行くハードルが下がるだけでなく、語学を社会で活かせたという実感を得やすくなるでしょう」

 しかし海外経験を積みたくても、金銭的な事情などで国外に出ることが難しい学生もいる。そんな学生たちにもチャンスを与えたいと、海外実践プログラムにCOILを組み込んだ。2025年度はインドネシアの大学と協力し、環境問題についてディスカッションし、問題の解決案を模索した。今後はアジア各国の大学に参加を呼びかけ、中国語や韓国語などでも議論をする機会を用意したいと、二宮教授は意欲を見せている。

言葉を使う実感や、失敗からの学びを得てほしい

 始まったばかりのプログラムではあるが、すでに手応えを感じ始めているとのこと。海外インターンシップから帰国した学生たちからも、「自分がこれまで勉強してきた言語を仕事で使えた」と報告があったという。

「語学は机の上で勉強していても、本当に身についているかわかりません。言語は相手から反応があって、初めて言葉として機能します。だからこそ、現地で言葉を使って仕事をしながら、人々の反応を見てほしい。その機会を大学側で提供し、単位が出る授業の一環として取り込んだ点が、本プログラムのおもしろさでもあります」

 また、二宮教授は「成功体験だけでなく、どんどん失敗して学んでほしい」と、プログラムへの期待を述べた。

「海外生活は思い通りにいかないことばかりで、現地の人が簡単にこなしていることでも、留学生にとっては大きな障壁になることがあります。しかし失敗することで、何が問題だったのか、クリアするためにはどのような努力が必要だったのかが自ずとわかるはずです。また、海外に住む日本人というマイナーな立場を経験することで、帰国後も同じような立場で生きている人の気持ちがわかるようになるでしょう。
 こうした経験や成長は、学生にとって本当に大事な宝だと思います。自分と違う考え方の人が世界には常にいる、思い通りに行かないことが普通、という体験を踏まえて、そうした人々と社会でどう協働していくかを考えてほしいです」

 プログラムを経て培われる視野の広がりや、多様な立場を想定して思考する力は、その後の大学生活や人生にも活かされていくだろう。

複数の語学、データサイエンス……国際教養学部の多彩な授業

 国際教養学部が力を入れている「語学」は英語だけではない。学生はスペイン語・中国語・韓国語からもひとつを選んで習得する。授業数は英語と同量。日本語、英語、そしてもう一言語を場面に応じて使い分ける力を磨いていく。
 
 約200の授業科目と、10の研究科目群といった分野の多彩さも、国際教養学部の特色だ。各研究科目群には関連する授業が分類されており、学生は自身の関心に合わせて2つを選択して学ぶ。スペイン・ラテンアメリカ研究、グローバル社会研究などの海外に関連する内容はもちろん、認知・行動科学研究、データサイエンス研究など内容は幅広い。

「200の授業の中から4年間ですべて自由に履修していい、としてしまうと、『大学で何を学んできたか』がわかりにくくなります。学びの方向性を明確に示すためにも、研究科目群を用意しました。組み合わせは自由に選べますし、ほかの科目群の授業も履修できるので、卒業時には学生ひとりひとりが異なるキャリアを構築しているでしょう」

 とくに理系科目は他学部と比べても充実しており、データサイエンス系の教員も多く所属している。文理を横断しながら学びやすい環境だといえよう。

「データサイエンスはこの先欠かせない分野なので、さらに拡充させようと考えています。また、研究科目群は今後も社会の状況や学生の関心に合わせて更新していく予定です」

 さらに独特なのが、哲学を1年次と4年次に必修にしていること。これには獨協大学の伝統が反映されている。

「本学の創設者である天野貞祐、そして獨逸学協会学校(ドイツガクキョウカイガッコウ)初代校長の西周はともに哲学者です。そこから受け継がれてきた理念が、哲学の必修化にも表れています。しかし内容は堅苦しいものではありません。1年生には『大学で勉強するとはどういうことか』、4年生には『大学での学びはどうだったか』を考えてもらいます」

 哲学の授業は学生からも好評だという。学部内アンケートでも多くの学生が「哲学があってよかった」と回答。自分の学びを振り返り、周りの学生と共有する時間に価値を感じているそうだ。

 言語力、広い視野、分野を横断した知見など多くの力を身につけて巣立っていく学生たち。二宮教授は「卒業後は周りの人と協働してプロジェクトを作り、社会に貢献できるような道に進んで行ってくれたら」と願っている。

 最後に、高校生や保護者へのメッセージを伺った。

「常にアンテナを社会に張り巡らせて問題を見つけ、その問題に対して自分から動ける人にぜひ入学してほしいです。今はできなくても、獨協大学に入学したら周りの友人や海外との接触などをきっかけに、アンテナの立て方や問題意識の見つけ方も自然と身につくと思います。
 また、保護者の方の多くはお子さんの卒業後の就職先を気にしているかもしれません。しかし大学生活は頭も身体も充実した、人生の中でもとても貴重な時間です。だからこそ、少し心に余裕を持って、お子さんの学びを見守ってほしいと思います」

獨協大学 国際教養学部学部長

二宮哲教授

 

獨協大学

ドイツで誕生した少人数制のゼミナール教育。独自のプログラムで国際人を育成

獨協大学の起源は、1883(明治16)年に設立された獨逸学協会学校に遡ります。現在、外国語学部・国際教養学部・経済学部・法学部の4学部11学科を擁する文系総合大学。全学共通カリキュラムで語学力と総合的な思考力を養い、少人数制のゼミナールやそれぞれの学部・学科の[…]

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