3分30秒ほどの低強度運動をしたあと、子どもの認知機能や気分が向上することを、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科と早稲田大学スポーツ科学学術院の研究グループが突き止めた。5分以下の低強度運動で認知機能向上を示した研究は世界で初めて。
学校で過ごす時間の70%以上は座位で占められており、世界保健機関や国際研究者団体は健康と勉強の集中力向上のため、授業中・休憩時間に身体活動プログラムの導入を推奨している。学校長・教員・生徒に行った調査では、授業中・休憩時間に適した運動として①1〜5分以内、②道具・準備不要、③無理なくできる、④学習利益期待、などの条件が挙がっているが、5分以下の低強度運動、特に認知機能向上を示す報告は全世代で存在していなかった。
そこで研究グループは小学5年生から中学2年生までの31人に15分間椅子に座ったあとと、ストレッチや片足バランスなど3分30秒ほどの軽い運動をしたあとで、認知機能と気分を測定した。
その結果、運動をしたあとは認知課題に対する反応時間が有意に短縮したが、座ったあとは有意な変化を確認できなかった。さらに、座ったあとは覚醒度が有意に低下したのに対し、運動後は覚醒度を維持していた。研究グループは3分30秒の運動が覚醒度の低下を防ぎ、快適度を向上させたとみている。
研究グループは学校や学習塾の授業開始時や合間に軽い運動を取り入れることで抑制制御が向上して気分が高まり、学習効果を上げる可能性があるとしている。
今後は対象年齢以外の子どもへの検証や、今回のような軽運動を習慣的に行った場合に認知機能や気分に及ぼす影響を検証し、教育現場で実践しやすいツール(動画、ウェブサイトなど)を開発して学校や塾における軽運動プログラムの実践を広める。また低強度で安全・簡単な運動といった特性を活かし、加齢による認知機能の低下が起こりやすい高齢者、長時間座りっぱなしのオフィスワーカーへの応用も視野に入れ、研究を進めていく。
