慶應義塾大学と電気通信大学大学院の研究グループは、可食材料のみを使用し、どの方向へ回転してもバッテリーなしで無線情報を伝達できる電磁メタマテリアルを開発。消化管検査への応用が期待される。
消化器疾患の早期発見や疾病予防、治療のための新たな医療機器として、経口摂取して体内を計測した後に消化・排出される可食センサの開発が進められている。これらのセンサは特定の電磁波を反射しワイヤレスで情報送信する。しかし、センサは体内で様々な方向に回転するため、どの方向からでも等しく電磁波を反射する必要があるが、従来の可食センサは一方向からの電磁波しか反射できなかった。
そこで研究グループは、砂糖を立方体形状に成形し、その表面にスターチペーパー基板と金電極を作製することで、立方体の六面に電極が搭載された可食電磁メタマテリアルを実現。体内で消化・分解されるため、体内での滞留のリスクは極めて低い。また、薬剤カプセルに封入した立方体形状の等方性電磁メタマテリアルは、飲み込んだ後に体内でどのような向き(姿勢)になっても、安定して電磁波を反射し、信号を体外に伝達できる。
このセンサを胃酸を模した試薬に浸漬し電磁波特性を計測すると、浸漬前と変わらず電磁波の共振を認めた。一方、腸液を模した液体に浸漬し同様の計測をすると、センサは全て溶解して電磁波の共振が消失した。これにより、センサを封入するカプセルに施すコーティング剤を適宜選択すれば、センサが消化管のどの部位で溶解したかをワイヤレスに検知できる。将来的に胃や腸などの消化管の簡易検査に利用できることが期待されるとしている。
