6学部8学科を有する総合大学として、「社会性・創造性・合理性を身につけ、広く国際未来社会で活躍し得る有為な人材の育成」に力を注ぐ明海大学。1970年に城西歯科大学として開学したルーツを持つことから、いまも「明海大学といえば歯学部」を想起する人も多い。歯学部を置く埼玉県坂戸市のキャンパスには付属病院を併設、埼玉・東京・浦安でPDI歯科診療所を運営するなど地域の歯科医療に貢献しながら、臨床力の高い歯科医師を多数輩出してきた。申基喆歯学部長に歯学部の目指す教育について伺った。

 

「歯科医師になる」夢をあきらめない
国内私大歯学部では最安の学費を実現

「本学部では特に、臨床に強い歯科医師の育成を掲げています。そのため、歯科医療の知識・スキルの修得にとどまらず、歯科医師としての人間性、コンピュータリテラシー、語学スキルなどを身につけ、変化し続ける社会状況に対応可能な“新時代の歯科医師”を養成するカリキュラムが組まれています」と申歯学部長。

教育内容の充実ぶりに自信を見せる一方、「歯科医師になりたいという人の夢に応えるため、極力学費を抑える努力をしています」と受験生への思いを明かす。

歯学部の学費は、医学部や薬学部と同様高額なイメージがあるが、明海大学では6年間の学費の総額を1888万円とし、国内の私立歯科大学としては最安の金額に設定されている(全国私立大学歯学部の6年間の学費平均は2757万円/2022年度入学生)。

「医師や歯科医師の子弟だけでなく、幅広い方に挑戦していただきたいと思っています。経済的理由であきらめる前に、本学を検討してみてほしい」と力をこめる。

少人数教育で医療人としての基礎を養い
5か国9大学への海外研修で多彩な力を磨く

実際の学びを見てみると、「広い視野」「豊かな感性」「国際性」の3つをキーワードに、多くの科目で少人数制によるきめ細かな指導が徹底されている。

1・2年次の基礎教育では、患者の立場に立って診療できるよう「感性を育てる科目」を多く設置。また1年生全員を対象とした少人数制「歯学基礎ゼミ」では、グループでディスカッションやプレゼンテーションに取り組みながら、歯科治療に必要な英語についても学修していく。3年次の専門科目の一部と5年次の病院実習も10人以下の少人数で実施される。

ユニークなのは、1・3・5年生が一緒に学ぶverticaltear(垂直分離)と呼ばれる教育システムで、5年生が下級生を指導するシーンも日常的にみられるという。

また、歯科医師国家試験や卒業を間近に控えた5・6年生には、学生最大10人に1人の若手教員がついて学問・生活両面を指導する「アカデミックアドバイザー制度」も好評だ。

さらに、グローバルな視野と最新の歯科事情を学ぶため、5年生の成績優秀者を中心に海外研修を実施。授業料、渡航費、滞在費などの費用はすべて大学負担のため、金銭的な心配がなく研修に集中できる。学内選考に合格した学生は、カリフォルニア大学ロスアンゼルス校(UCLA)、北京大学口腔学院などを訪問し、1週間~10日前後、現地の学生と共に学ぶ。本プログラムは交換研修のため、現地でホスト役だった学生が後日来日し明海大学歯学部で学ぶという相互交流も特色だ。

「海外研修は人気のプログラムで、5年生の4人に1人が参加しています。アメリカ、中国は歯科技術が発達しており世界でもトップクラス。勉学はもちろん、文化を学び、友人をつくり、貴重な交流の場になっています」

国を超え、共に研究を進める深い友情が育まれることで刺激を受け、研究へのモチベーションが高まって長期留学を決意した学生もいるそうだ。

国家試験平均合格率は80%超
卒業後も学び続けられる制度が充実

6年間の充実したカリキュラムの成果は、国家試験合格率にも表れている。2023年1月の第116回歯科医師国家試験(新卒者)の合格率は77.9%。過去6年(修業年数)の平均では80%を超え、いずれも私大歯学部の平均合格率を上回る。しかし申歯学部長は現状に満足することなく85%以上の合格率を目標に掲げているという。そのうえで、学生一人ひとりには国家試験合格後も向上心を持ち続けてほしいと話す。

「今後ますます歯科医師がやるべきことは増えるでしょう。少子高齢化が進むなかでQOL(Quality Of Life)が注目され、虫歯の治療をするだけでなく、オーラルケアを通じて健康を守ることが重要になってきた。常に学び続けることで、自分の診断と治療技術を高め、患者に貢献できる歯科医師になってほしい」

その言葉をかたちにしたのが、卒業後も学ぶことができる数々の制度だ。卒後研修機関PDI、生涯研修CEは日本初となる試みで、明海大学の卒業生でなくとも受講可能。詳細は以下に紹介するが、手厚い学びのサポートを確かめてみてほしい。

〇大学院進学サポート
より高度な技術を持った歯科医師、大学教員、研究者を目指す人が対象。費用面のサポートが手厚く、明海大学の卒業生は全員受験料が免除。学部在籍時の成績優秀者が対象の特待生制度では入学金および授業料が4年間免除となる(年間25万円程度の実習費は必要)

〇卒後研修機関(PDI:Post Doctoral Institute)
国家試験合格後に定められた法定研修は1年間だが、PDIでは2年かけてより実践的な研修を行う。法律で義務付けられている臨床研修に加え、倫理研修や医院経営ノウハウも学べるため、開業への近道として通う人も多い。埼玉、東京、浦安に設置

〇生涯研修CE(Continuing Dental Education)
歯科医師や歯科衛生士として働く人を対象に、最新の知識や技術を学んでもらうため1999年に設置。土日を中心に年間約60コースを開講。指定コースを受講後、試験に合格するとExcellent Clinician、Distinguished Clinician、Master Clinicianの称号が授与される

 

明海大学 歯学部長
申 基喆教授

 

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。